人気ガラス作家・イイノナホ氏の世界 −新宿御苑を望むアトリエで制作する2種類のきらめくブローチ−

新宿御苑を望む光に満ちたアトリエ

JR千駄ケ谷駅から歩いて約5分。新宿御苑・千駄ヶ谷門の目の前に、人気ガラス作家・イイノナホ氏のアトリエがあります。半円形の大きなショーウィンドウでひときわ目を引くのが、代表作のひとつのシャンデリア。「Baloons」や「Sparkle」と名付けられた作品の、ブドウの房のような個性的な愛らしい形やセンスを感じさせる色彩に、道行く人の多くが足を止めて見入っています。この素敵なアトリエで体験できるのが、イイノ氏の世界観に学ぶオリジナリティーあふれるガラスのブローチまたは帯留めの制作です。

幼い時から、きらきらと透き通るガラス素材が好きだったというイイノ氏。彫刻を専攻していた大学時代に、「すべてのものは溶けてガラスになる」という本の一節に胸を打たれたのをきっかけに、ガラス作品の制作を開始。大学卒業後にシアトルのガラススクールで学んだ後、2007年に工房「iino naho glass garden」を設立しました。現在は、日本国内にとどまらずパリやニューヨークを中心に海外の展示会にも出品するなど、世界を舞台に活躍しています。

ガラス作品が誕生するまでの物語を知る

本体験では、はじめにガラスという素材の魅力と特徴を学びます。硬質でありながら、透明で清らかな水の流れのようにも、時間の流れを永遠に閉じ込めたようにも感じられる美しいガラス。そのガラスの原料を溶かす約1300度の溶解炉を有し、室内温度が50℃にもなる工房での様子など、普段聞くことができないガラス制作の過程を垣間見ることができます。お話を伺いながら、この後に続く世界にたったひとつの作品づくりへの期待に胸が高まります。

本プランでは、ブローチまたは帯留めからお好きな組み合わせで2点を制作します。仕上がりに応じて制作方法も2パターン。ひとつは、様々な色のガラス板からパーツを切り出し、重ね合わせることで形づくる技法。もうひとつは、イイノ氏がオリジナルで制作した円柱状のガラスを小さく切り、モザイク画のように形づくる技法です。イイノ氏のおすすめは、それぞれの技法で1点ずつ制作すること。この機会に、一つひとつ異なった表情を見せるガラス作品の制作を楽しみましょう。

溶け合うガラスの色の重なりを想像する

ガラス板を使った制作では、まずベースとなるガラス板の色・形・大きさを決め、その上に異なる色・形・大きさのガラス板をお好みで重ねていきます。イイノ氏は「ガラスが溶けて色が重なった時にどんな表情が生まれるのか。経験を積めばある程度の想像はできますが、その想像を超えたものが生まれた時の感動はひとしおです」と、ガラス制作の魅力を話します。

ベースとなるガラス板の大きさは2種類で、基本の4.5×4.5cmと、6×6cmから選びます（※）。サイズによって作品が醸し出す雰囲気や、似合う表現も変わるので、出来上がりを想像しながら選びましょう。

※6×6cmの板ガラスによる制作は有料でのオプションとなります。
※体験当日に現地でのお申し込みはできませんのでご注意ください。

ガラス板は、ガラスカッターとランニングプライヤーという特殊な工具を使って形づくります。切る場所にペンで目印を付けたら、定規を当ててガラスカッターでガラスの表面に直線の傷を入れます。そして、ランニングプライヤーを使って傷に沿ってガラスをカット。作業やデザインに迷っても、丁寧なレクチャーとアドバイスがあるので安心です。

色の連鎖が魅力のモザイクガラス

もうひとつのモザイク技法では、円柱状のガラス棒から専用のカッターを使って小さなガラスピースを切り出し、ブローチ（または帯留め）の台座の形に沿って思い思いに並べてデザインします（※）。イイノ氏の作品の世界観を思わせる淡く優しい色合いのガラスピースのなかから、シンプルに直線や円形に並べたり、花びらたっぷりのお花のように敷き詰めたり。

※モザイク技法による制作は有料でのオプションとなります。
※体験当日に現地でのお申し込みはできませんのでご注意ください。

隣り合う色と形がどのように結びつくかを想像しながらの作業は、時が経つのも忘れるほどの楽しさです。ガラスを溶かす作業はアトリエで行うのが難しいため、イイノ氏の工房で別途行われます。作品は体験後1週間〜10日で完成し、郵送でのお届けまたはアトリエでの受け取りが可能です。

体験の最後にはアトリエの作品をじっくりと鑑賞したり、イイノ氏が制作したガラスの器でお茶を飲みながらスタッフや参加者同士の会話を楽しんだり、思い思いに過ごすことができます。光を透過させ、唯一無二の輝きを放つガラス作品。体験を終えた時間に差す光は、訪れた時間とはまた違った表情で、アトリエにきらめきを運んできてくれるかもしれません。時間の許す限り、刻一刻と趣が変化するガラスの様々な魅力に触れてみましょう。

ガラスの中に閉じ込める“今”

身近な存在でありながらも、制作過程から深く触れる機会は少ない「ガラス」。一度溶けて固まれば、ふたつとして同じものをつくることはできません。“今、ここに起きた奇跡の瞬間”が、そのガラスに閉じ込められているといえるでしょう。本プランを通して、ずっと大切にしたくなる、世界にたったひとつのきらめきに出会ってみてはいかがでしょうか。