日本刺繍作家・田中京子氏に学ぶ刺繍【初回プラン】 −銀座のギャラリーにてハンカチに刺繍を添える−

ひと針ごとに積み重なる時間を楽しむ日本刺繍

窓辺から差し込む光を感じながら、小さく細い針でひと針ずつ縫うリズムが心地良い日本刺繍。本プランで講師を務めるのは「彩葉針（いろはばり）」を主宰する日本刺繍作家・田中京子氏。女子美術短期大学で日本刺繍を学んだのち、伝統工芸展所属の作家に師事し、制作活動へ。得意の色合わせを生かし、伝統的な作品の枠を超えた作品づくりを多数行い、展覧会や展示会に出展しながら自身の世界観を追求してきました。

田中氏は基礎を丁寧に学び続けた自身の経験から、上達するまでの喜びと困難の積み重ね、そしてその狭間にある「ひととき」を大切にしてきました。技術的な要素だけでなく、生徒の気持ちやモチベーションに寄り添うことを大事にしているため、普段の自分らしく、心落ち着いて過ごせる雰囲気が魅力です。

モノクロの下図が彩られ、徐々に立体感が現れてくる工程には、小さな喜びがあります。艶やかな着物に施された豪華な日本刺繍も実は、基礎となる小さな工程を繰り返すことで、その美しさが完成するのだとか。日本刺繍の技術を知らない人が増えてきたからこそ、どうしたら身近に感じてもらえるのか模索しているという田中氏。作品の独創的な色遣いはその想いをくっきりと物語っています。

昭和初期から歴史を刻む奥野ビルに佇むギャラリー

会場は、銀座・奥野ビルの一画に佇む「ギャルリーラー」と「サロンドゥラー」。アートやファッションなど、ジャンルを超えた様々なアーティスト・クリエイターの展示やイベントが随時開かれています。2つの空間は、オーナーが国内外から集めたこだわりのアンティークに彩られ、その歴史ある空間に新たな息吹がもたらされています。

かの有名な同潤会アパートの建設部長・川元良一によって設計された奥野ビルは、かつて「銀座アパートメント」と呼ばれ、銀座屈指の高級アパートだったそう。多くの芸術家・文人が訪れた面影を映す重厚な内部空間は、階段や手すり、廊下のデザイン、すりガラスなど細部まで趣深く、訪れる人を非日常空間に誘い込みます。

現在は画廊やアンティークショップが集い、この昭和レトロ建築をより味わい深いものとしています。民間住居においてはじめて設置された、現在でも使用可能な手動開閉式のエレベータがあり、細部に目を凝らすほど素材へのこだわりが見えてきます。この空間が積み重ねてきた歳月に心寄せ、現代へ受け継がれてきた日本刺繍に触れる特別な時間を過ごしましょう。

【初回プラン】日々にそっと寄り添うハンカチに日本刺繍を

日本刺繍と聞くと、絹糸の美しい艶や上品さ、着物に施された豪華な刺繍をイメージするかもしれません。一方で、田中氏が繰り広げる世界には、和洋にとらわれない自由さと、めくるめく色彩の魅力があります。昭和初期、最先端の西洋文化が編み込まれた建築空間に包まれ、伝統文化である日本刺繍と向き合えば、新しいアイデアや創造力が掻き立てられるでしょう。

初回の体験では、白地のハンカチにグレーの絹糸でイニシャルと桜の花を組み合わせたワンポイント刺繍を施し、季節を織り込んだとっておきの1枚を制作します。日常的に使いやすい日本刺繍のハンカチは、体験当日に持ち帰ることができ、今後も重宝することでしょう。伝統的な日本刺繍の品を身につけると不思議と豊かな気持ちになれるはず。繊細な風合いを持つ日本刺繍は小さな模様でも存在感のあるデザインとなります。

体験は、予約時に希望したイニシャルと桜モチーフの下図を講師が手書きで準備した状態からスタートします。下書きがあるので、初心者の方にも安心です。ひと針、ひと針と縫い進める時間は、この空間に身を任せるような心穏やかなひとときとなるでしょう。

オプション（有料）で、レース付きの白地のハンカチに変更可能。絹糸の光沢と相まったエレガントな表情のハンカチは、お祝いの席や特別な日にそっと持ちたい1枚になるでしょう。

針とともに刻む「時間」に身を任せて

様々な伝統的技法やな伝統文様から広がり、現代へと受け継がれてきた日本刺繍。針を刺し糸を引くという、その繰り返しに没頭することで心が洗われる時間。刺繍という贅沢な体験を、クラシカルな建物が持つ特別感が包み込みます。この空間で日本刺繍に集中する時間は、きっとかけがえのないものとなるはずです。

本体験は、小さな柄から心躍る世界が広がる日本刺繍を、日常に取り入れるきっかけになるかもしれません。かつて多くの芸術家・文人が訪れた空間に思い馳せ、移ろいゆく季節の流れを感じながら、日本刺繍の魅力に触れる特別な時間をお過ごしください。