皇室との縁深く尊崇された実相院門跡 平安時代に官営の瓦工場が置かれ、古墳や遺跡も発掘されるなど、歴史深い洛北の地・岩倉。国際会館駅周辺は、国立京都国際会議場や宝が池公園などがあり、同志社岩倉キャンパスに隣接する文教地区でもあります。国際会館駅からバスで約15分、静かに佇む「実相院門跡」は元天台宗寺門派のお寺で、摂関家や皇族が代々の住職を務めた格式高い門跡寺院です。由緒正しさの一端を感じさせる大宮御所から移築された客殿(本堂)や四脚門、御車寄、そして狩野派の襖絵や多数の古文書などが今に伝えられています。
現存する数少ない女院御所(大宮御所)の遺構のひとつである四脚門 開基は鎌倉時代の1229年(寛喜元)年で、1474年(文明6)年に岩倉の地に移転。応仁の乱の戦火から逃れられたため、鎌倉時代作の木造不動明王立像や古文書など貴重な文化財が伝わっています。また、比叡の山並みを借景とする石庭と山水庭園があり、桜や紅葉の名所として有名。特に客殿の床に映える「床みどり」や「床もみじ」が美しく、新緑の緑、紅葉の赤と、鮮やかな光景が訪れる人の目を楽しませてくれます。
磨き上げられた床板に映し出される「床もみじ」 本プランでは、御本尊の不動明王立像をはじめ、庭園や上段の間などを拝観。特に上段の間は、通常は冬にのみ特別公開され、その時にも見ることができない非公開の襖絵を見学することができます。
御本尊の不動明王と2つの庭園を参拝し歴史に触れる 落ち着いた佇まいの四脚門をくぐり、客殿(本殿)に到着。案内役の執事とご挨拶をして特別拝観ツアーが始まります。四脚門も客殿も、東山天皇の中宮・承秋門院(じょうしゅうもんいん)の旧宮殿(女院御所)の一部を下賜されたもので、大宮御所の遺構です。御本尊の不動明王立像にお参りし、実相院門跡の歴史にまつわるお話を聞きながら寺内を巡ります。
約400年以上続く歴代住職が綴ってきた「実相院日記」を研究し、実相院の歴史に精通する執事 実相院門跡にある庭園のひとつ「こころのお庭」は、京都の庭師である御庭・植治の小川勝章氏が監修。2013年から2年にわたり、一般市民も参加して作庭された石庭です。東日本大震災で被災された方々への追悼の意を表し、波や山を象って日本の国土に見立てています。
「こころのお庭」の一つひとつの山は、北海道や本州など日本の各地方を表現している 庭のもみじが床に映り込む「床もみじ」と呼ばれる景色は、20年以上前に生まれました。今人気の「リフレクション(反射)」の元祖ともいえる存在です。新緑の頃の「床もみじ」に冬の「床銀華」と、それぞれに違った魅力があります。また、大きな裏山を背にした山水庭園は、水の音や野鳥の声に癒され、つい長居したくなる空間です。
客殿と書院の間にある自然の美しさを生かした山水庭園 通常非公開の上段の間や襖絵を特別鑑賞 江戸時代に活躍した狩野派の襖絵を数多く見られるのも、実相院門跡ならではの貴重な体験です。波の間の『山水図襖』、つるの間の『群鶴図襖』、大玄関の『竹に虎図杉戸』、滝の間の『高士図襖』など、目を奪われる作品ばかり。なかでも大玄関の『群仙図襖』は、京狩野派4代目・狩野永敬の作で、仏間の障壁画『四季花鳥図』は永敬の代表作です。
上段の間の内側の襖絵。船や乗り物の部品を修理する人々が描かれている 上段の間は通常非公開ですが、本プランでは特別に入ることができ、内部の襖絵『黄帝造船車図襖』や床の間の『帝鑑図』などを鑑賞することができます。また、続きの滝の間の襖も閉じられ、部屋の名前の由来となった滝が描かれた襖絵を見ることも。貴重な美術品をじっくり鑑賞しましょう。
普段は「床もみじ」が見えるよう開かれている滝の間の襖。閉じると滝の絵が完成する 実相院門跡ならではの行座体験と茶道2流派の所作を知る喫茶体験 寺内の拝観後は、寺宝である掛け軸「後水尾天皇宸翰(しんかん)『忍』」が掲げられた非公開の書院へ移動。門主の原敬寿氏の指導により行座を体験します。同じく寺宝として伝わる「行座釈迦」にちなんだ講座で、行座釈迦は6年苦行を行い痩せてしまった姿の仏像で、一般には苦行釈迦として知られています。
寺宝「行座釈迦」。ヤシの実で作られた厨子に納められている 行座釈迦に見守られながら、腹式呼吸を実践し、姿勢と心をととのえます。自分と向き合い、無の境地に浸る時間を体験します。
行座体験で呼吸と心身をととのえる 本体験では、門主によるお点前のなかで表裏両千家の所作を教わり、流派の違いについて解説を受けながらお茶とお菓子をいただきます。ご挨拶の仕方やお茶の飲み方だけでなく、襖の開け方や茶室への出入りといった細かな立ち居振る舞いもレクチャー。「表と裏の両方のお作法を知っていれば、ちょっとしたお茶会に招かれた時に落ち着いて対応することができます。ここで得たことをぜひ生かしていただきたいです」と原門主は話します。
表と裏、それぞれの作法を解説と共に学べるまたとない機会 お茶と共にいただく和菓子は、京菓子司「紫野源水」のもの。「心庭」という菓銘が付けられ、本プランのために特別に作られるオリジナルの一品です。おいしいお茶とお菓子を味わいながら、気さくな原門主との会話も楽しみましょう。
紫野源水特製のOtonamiプラン限定のオリジナル和菓子「心庭」 宮中文化の名残と貴重な文化財を堪能 大宮御所から客殿などが下賜された江戸時代の享保年間、実相院門跡には格式高い家柄の人々が集い、和歌の会やお茶会などを開いていました。和歌に秀でた後陽成天皇の真筆で重要文化財の「仮名文字遣」、後水尾天皇の皇女・明正天皇の三十六歌仙もここに所蔵しています。実相院門跡は和歌・連歌にも縁が深く、茶道のわびさびは連歌の「冷えさびる・枯れる」という言葉に由来するともいわれているのだとか。原門主は、「本体験を通して、実相院門跡に伝わる美意識を感じ取ってみてください」と話します。
三十六歌仙が描かれたOtonami限定デザインの御朱印 おみやげとして、三十六歌仙をあしらったOtonami限定デザインの御朱印が授与されます。解散後は、美しい御所建築の寺内や2つの庭園をもう一度自由に巡るのもおすすめ。800余年の歴史に深く触れ、行座体験で呼吸と心を整えた後は、感覚が研ぎ澄まされているかもしれません。実相院門跡に漂う壮麗な宮中文化の遺香を感じてみてください。