京都「建仁寺×アカガネリゾート」僧侶の解説付きで巡る月1回限定の特別拝観＆和モダン邸宅でディナー

800年以上の歴史をもつ京都最古の禅寺「建仁寺」

宋で禅を学んだ禅僧・明庵栄西によって1202年に開かれた「建仁寺」。京都最古の禅寺として知られ、八坂の塔や八坂神社、清水寺など京都を代表する寺社仏閣が点在する東山エリアに位置しています。諸堂は中国・江西省にある禅の修行の地として有名な百丈山を模して建立され、歴史と自然が調和した堂々たる佇まいです。

こけら葺の立派な屋根が特徴的な方丈がある本坊には、趣の異なる3つの庭園があります。庭園のほかにも、絵師・俵屋宗達が描いた国宝「風神雷神図屏風」の複製を展示。観音の守り神とされる風神雷神の様子と共に、全面に金箔が使用された豪華な屏風を見学できます。

本ツアーでは、僧侶の浅野俊道氏が建仁寺の見どころや庭園の見方、禅の心得などを解説します。シンプルな美しさを追求した建仁寺だからこそ、自分自身と向き合うことで心を磨き、慈悲の心を育てる禅の世界を体感できます。想像力を働かせながら、豊かなひとときを過ごしましょう。

静かな境内で「双龍図」や庭園を拝観

はじめに、普段は講義や儀式が行われる法堂へ。足を踏み入れると、天井いっぱいに圧巻の2匹の龍の姿が描かれています。「双龍図」と呼ばれるこの絵は、建仁寺の建立800年を記念して2002年に描かれました。日本の様々な寺に描かれている龍の姿は、中国から仏教と共に渡ってきたもの。中国の龍の描き方に従って描かれた雄々しい姿からは、圧倒的な迫力を感じられます。

続いて建仁寺の本坊にある「潮音庭」「大雄苑」「○△□乃庭」を見学します。特に瑞々しい緑色が美しい「潮音庭」は、360度どこから見ても正面になるように造られているのが特徴的。ぐるりと廊下を歩きながら、自らが「美しい」と心から感じられる場所で立ち止まってみてください。「もっとも綺麗だと思う場所が決まった時、庭は完成するんです」と浅野氏。季節や時間帯、心の状態により、見える景色は変わるのだとか。

方丈の前に広がる「大雄苑」は、水を使うことなく、石を山に、砂を水に見立てた枯山水庭園です。一番背の高い主石を中心に、そこから雨の水滴が川となり、やがて海になり、流れてゆくさまが表現されています。雄大な自然を感じさせるシンプルな庭園は、煩悩が削ぎ落とされた禅の世界を表現しているかのよう。川の流れのように変化し続ける自身の気持ちに目を向けてみましょう。

禅の声に耳を傾ける、自由散策の時間

見学ツアーの最後には、自由散策の時間が設けられています。庭園を眺めながら静かなひとときを過ごしたり、建物の歴史を感じながら歩いてみたりと、思い思いの時間を過ごましょう。

浅野氏と共に鑑賞した庭のほかにも、方丈には個性的な名前が特徴の「○△□乃庭」があります。「この世のすべては○△□で表現できる」という禅宗の考え、「地水火風空」を表しているシンプルな庭園です。庭の意味を知ると、より深く禅の魅力を感じられるかもしれません。

また、睨みつけるような龍の目が特徴的な襖絵「雲龍図（複製）」を見学したり、信仰の対象となる本尊の「十一面観音菩薩坐像」に手を合わせてみたり、境内をくまなく巡ってみてください。古くから代々大切にされてきた800年以上の歴史の深さを感じられます。

実業家の邸宅をリノベーションした隠れ家レストラン「アカガネリゾート京都東山1925」

建仁寺を見学した後は、京都の街並みを歩きながら「アカガネリゾート京都東山1925」へ移動します。アカガネリゾート京都東山1925は、“アカガネ”の名が示すとおり銅（アカガネ）加工会社のオーナーの私邸をリノベーションした隠れ家レストラン。森に囲まれたひっそりとした佇まいとは裏腹に、重厚な扉の向こうには広大な庭と銅が輝くアプローチが現れます。

建物に入ると目に入るのは、日本を代表するキモノデザイナー・斉藤上太郎氏による豪華絢爛な孔雀の西陣織。シックな建物の随所に挿し色のように使われる美しいブルーは、この孔雀の羽の色にちなんだ“ピーコックブルー”。銅が経年変化することによって見られる“緑青（ろくしょう）”とも呼応しています。

京のテロワールを感じるフレンチディナー

まずは体験の余韻とともに、乾杯のドリンクを。スパークリングワインまたはノンアルコールのスパークリングワインをいただきます。ディナーは、京都らしい和のテイストを取り入れたフレンチのコース。四季の繊細な移り変わりを表す旬の食材がふんだんに用いられ、ひと皿ごとに趣向を凝らした美しい盛り付けが目を楽しませてくれます。

メインディッシュは、魚料理と肉料理の両方を味わえます。どのような食材が使われているか想像するのも楽しいひとときです。空間を煌びやかに演出する銅や真鍮の装飾を鑑賞しながら、東山の夜をゆったりと満喫しましょう。

禅の心に触れて穏やかなひとときを

現在も禅の学び場として多くの人々の心の拠り所になっている建仁寺。枯山水庭園を眺めながら禅の世界を体感すれば、揺れ動く心を整えるひとときを過ごせるでしょう。「禅とは静かであるということ。禅の教えは、忙しない日々を過ごす現代人にとって必要なものだと思います」と浅野氏。禅宗と他の宗派では、他の宗派は神様にお願いをする他力本願、禅宗は自分自身を拠り所にする自力本願という違いがあります。すなわち、何事も自分自身を変えていく必要があると禅の教えは伝えているのです。

浅野氏の丁寧な解説に耳を傾け、通常の拝見では見逃してしまいそうな境内の細部にまで目を向ける、月に一度だけの特別な機会。庭園の前で自分の気持ちと向き合いながら、穏やかにシンプルに生きるという禅の心得をじっくりと体感してください。