「MUNI KYOTO×福田美術館」嵐山でアラン・デュカス氏の思想に触れる建築＆アートツアー

嵐山の風景に溶け込む唯一無二のホテル

京都でもひときわ四季折々の風情を感じられる景勝地として、時代を問わず多くの人を魅了し続けてきた嵐山。桂川の流れと山々が織りなす風景の豊かさは、見る人の心に安らぎを与え、古くから貴族や文化人の別荘地としても知られてきました。この美しい嵐山の地を象徴する渡月橋の前に、『ミシュランガイド京都・大阪＋岡山2021』で4つ星を獲得したコンテンポラリーホテル「MUNI KYOTO」があります。

MUNI KYOTOのコンセプトは、まさに「唯一無二」。自然と歴史が調和した嵐山の風景や文化を100年後まで守る土壌のような存在になりたいと、来訪者の心に刻まれる唯一無二のシーンを生み出すことを目指しています。

MUNI KYOTOの建築設計は、隣接する福田美術館とともに、「ポーラ美術館」で日本建築学会賞を受賞した安田幸一氏。内装設計は紫綬褒章を受賞した故・内田繁氏が創設した内田デザイン研究所の長谷部匡氏が担当。MUNI KYOTOのインテリアデザインのコンセプトは「間と余白」。日本の美意識と現代を絶妙なバランス感覚で融合し、嵐山の風景に溶け込むデザインが高く評価されています。

そして、フランス料理界の巨匠 アラン・デュカス氏が設立した「デュカス・パリ」による料理、上質で心安らげるスパ空間、居心地の良い客室、質の高いホスピタリティなど、ここだけの空間と時間、魅力で非日常的な体験をもたらしてくれるホテルです。

フランス料理界の巨匠 アラン・デュカス氏が監修するアフタヌーンティー

MUNI KYOTOでの体験は、渡月橋と桂川を見渡せるホテル内のレストラン「MUNI LA TERRASSE」で楽しむアフタヌーンティーからスタート。レストランをプロデュースするのは、世界各地で星付きレストランを経営し、当時史上最年少で『ミシュランガイド』3つ星を獲得したアラン・デュカス氏です。

アラン・デュカス氏がMUNI KYOTOの食をプロデュースすることに決めたのは、京都の嵐山、それも渡月橋が目の前にあるから。そして、宿が目指す“旅館コンテンポラリー”、つまり“フランス人のエッセンスで作る現代的な旅館”というコンセプトにシンパシーを感じたからだそう。

アフターヌーンティーのメニューには、旅する料理人としても知られるアラン・デュカス氏が日本や世界を巡って厳選した食材が使用されています。ドリンクはフリーフローで、コーヒーや紅茶、ハーブティーのほか、「LE CHOCOLAT ALAIN DUCASSE」のカカオを贅沢に使ったホットチョコレートも味わえます。嵐山の風光明媚な自然を一望できる特等席で、ゆったりアフタヌーンティーを満喫しましょう。

伝統と現代が融合したアートショールームへ

本プランでは、通常は宿泊者しか見ることができないエリアやアート作品をスタッフの案内で見学できます。建築の専門家などに渡しているファクトシートが特別に配布されるのも楽しみのひとつ。陶芸家・安藤政信氏による水琴窟がお出迎えするエントランスを抜け、奥へ進むと特別感のあるロビーに到着。書家の稲田宗哉氏による「無二」の書が掲げられた素敵な空間が広がります。

MUNI KYOTOには、嵐山の景観を生かした3つの庭があり、周囲の自然と一体になれる特別な空間が創り出されているのも見どころです。ロビーの前にある白の庭（中庭）は、数億年前の海底に堆積したチャートと呼ばれる岩石が隆起して形成された嵐山の景観をもとにデザイン。岩を切って桂川を、松の木は水の神様として京都で親しまれる龍を、木のボーダーは竹林の小径をイメージしてつくられているそう。客室に面した黒の庭（主庭）は、嵐山を借景に桂川の流れ、御座山、嵐山を再現した池泉式庭園です。

さらに、普段はディナーの際にしか入店できないレストラン「MUNI ALAIN DUCASSE」も見学できます。光の庭（奥庭）に面し、地上から自然光をたっぷり取り込んだ店内は、優雅な雰囲気に包まれています。また、アラン・デュカス氏が収集したアンティークグラスやカトラリーがディスプレイされ、マルク・シャガールの絵画が存在感を放っています。

MUNI ALAIN DUCASSEでは、絵画の保存のために美術館と同様の空調管理やセキュリティチェックが日々行われ、カトラリーや椅子などもすべて一級品が取り揃えられています。アラン・デュカス氏が来日した時の秘話も聞けるかもしれません。

貴重な作品を鑑賞して日本美術への理解を深める

アートショールームの優雅な空間に浸った後は、福田美術館を自由に見学しましょう。同じオーナーによって建てられたMUNI KYOTOと福田美術館は、門から屋根に至るまでデザインの統一性が追求され、外から眺めるとその関連性にハッと気付かされます。両施設のコンセプトは、嵐山の自然と日本美術の調和。遠くから見ると渡月橋や小倉山などの風景に溶け込み、近くで見れば現代建築らしいシンプルでミニマルなディテールを感じられます。

2020年にはその優れたデザインが評価され、日本建築家協会（JIA）から建築部門優秀賞を受賞。2023年に福田美術館は世界的に有名なTIME誌で世界で最も素晴らしい場所のリストにも選ばれました。

福田美術館には、江戸時代の伝統的な絵画から現代美術まで、約2,000点の美術品が収められています。常設展ではなく、年に4回企画展を開催し、展示内容によっては伊藤若冲や円山応挙など江戸時代に活躍した京都の画家の作品を見ることができます。また、竹久夢二のコレクションは日本最大級。日本美術の傑作を心ゆくまで鑑賞しましょう。

アート鑑賞と美食を五感で楽しむ嵐山リトリート

美術鑑賞を堪能したら、再びMUNI LA TERRASSEへ。渡月橋の夕景を見ながら、通常は宿泊者限定のカクテルタイムに参加しましょう。シャンパンのモエ・エ・シャンドン、赤・白のワイン、宿泊者限定の季節のカクテル、ノンアルコールドリンクなどからお好みで1杯選べます。カクテルタイム中、パブリックスペースのアートを見学することも可能。また、おみやげに「有職菓子御調進所 老松」が本プランのために考案した和菓子を1種類持ち帰れます。

MUNI KYOTOと福田美術館の建築秘話とアートコレクションの数々、アラン・デュカス氏の思いを京都で体現した空間とティータイム、そして雄大な嵐山の景色。本プランでは様々な美を同時に楽しめます。美術に親しんできた方も、あまりなじみのない方も、ここで過ごす間は常に感性が磨かれることでしょう。