江戸末期から12代継承する「銀師」の技
ものづくりの文化が息づく台東区入谷に体験教室を構える「日伸貴金属」。江戸時代末期から鍛造の技を脈々と受け継ぎ、12代続く伝統を守り高めています。11代目で代表の上川宗照氏と銀師一家が精励を重ねるのは、台東区や荒川区を中心に作られている「東京銀器」。優美な輝きを放つ銀に伝統文様を施した銀器は、日本を代表する工芸品として広く世界中から注目されています。
制作物によって細かく使い分けるという、個性豊かな工具の数々にも注目したい代々受け継がれてきた伝統の技に触れられるこの場所では、12代目銀師・上川宗伯氏がゆるやかな笑顔であたたかく迎えてくれます。肩の力を抜き、リラックスした心地良い雰囲気の中で体験に臨めるでしょう。
「伝統工芸になじみのない方にもこの体験から親しみを持ってもらえたら」と宗伯氏使い手とともに変化する不思議な金属「銀」
本体験で使用するのは、世界でも「ピュアシルバー」と称される純度99.9%の純銀。銀は鏡のコーティングに使われるように、磨くほどに落ち着いた光沢を帯びます。銀器は落としても割れず、へこんでも修理がきき、磨けばまた輝きが戻るのが特徴。さらに金属のなかでも可視光線反射率が最も高く、抗菌作用もあるのだそう。手打ちの銀製品は使い続けるほどに風合いが出て、実用性と美しさを兼ね備えた「用の美」を感じられるはずです。
純銀製品であることを示す「純銀」の刻印現在、銀細工を制作する銀師は日本にわずか数人。銀の歴史や魅力について直接学べる場所はここだけです。ぜひ色々なことを尋ねてみてください。
銀器に注ぐと飲みものの味わいがまろやかになるのも、不思議な特性のひとつ心静かに銀と向き合う
バングル作りの体験は、実際の作業場で工具に囲まれながらスタート。金鎚の持ち方を教えてもらい、まずは銀よりも硬い銅板に試し打ちを。打ち方や力加減によって施す模様が変化します。宗伯氏にイメージを伝えると、金鎚で表現できるデザインを一緒に考えてくれます。
心を一点に集中。打つ場所は固定し、素材の方を少しずつ動かして模様を描くいよいよ、バングルとなるスティック状の銀へと模様打ち。金鎚を持つ手には力を入れすぎず、脇を締めて肘を支点に動かします。はじめは思った位置に金鎚を落とすことすら難しく感じますが、慣れてくるとだんだんとリズミカルに打てるようになります。「カン、カン」と響く乾いた音に身を委ねて、一心に模様を刻みましょう。
ワンポイントにイニシャルや記号も刻印できる模様を刻んだら、棒の両端に刻印を刻む平らな面を作ります。刻印は、猫の肉球やハートマーク、アルファベットなどからデザインや文字数を現地で選ぶことができます。刻印が決まったら、先ほど平らにした面に刻印を入れます。
煌めく純銀のバングルに心躍る
模様を施した銀は、宗伯氏がバングルの形に仕上げます。先ほど使用した金槌よりも大きな木槌で、一人ひとりの腕周りのサイズに合わせたゆるやかなカーブに整えていきます。宗伯氏と相談しながら、一緒にお好みの形を目指しましょう。
打ち込んだ模様が際立ち、唯一無二の輝きを見せてくれる純銀は磨けばさらに風合いが出ます。やわらかなネルの布にクリームを付けて円を描くように伸ばしていくと、くすみを帯びていた銀がまぶしい光沢を放ちます。金鎚で刻んだ模様はまるで星屑がキラキラとあふれだしたよう。ずっと眺めていたい美しさです。
身に着けて体感する銀の魅力
さっそく完成したてのバングルを身に着けてみましょう。純銀は金属の中でもっとも熱伝導率が高い素材。ひんやりとした感触はあっという間に人肌になじみ、腕にフィットしてゆく心地よさを感じられるはずです。
通常の3mmより太めの4mmで仕立てたバングル(右)と、板状のバングル(左)オプションにて、銀の素材を通常の3mmより太めの4mmに変更することが可能です。よりバングルの存在感を際立たせたい場合には、素材をより太い板状に変更することもできます(いずれも別途料金がかかります)。素材が太くなることで、打ち込めるデザインのバリエーションも広がります。好みの仕上がりを想像しながらセレクトしてください。
※2026年2月9日(月)以降、オプションの受付を当面の間停止いたします。
※1回の体験につき、1アイテムの制作となります。あらかじめご了承ください。
荘厳なる風格を放ついぶし銀も、磨き上げた銀の煌めきとは異なる魅力を持つ制作の終わりには、銀器についてのお話を聞きます。銀器の特性や歴史を知ることで、ますます作品に愛着が湧きそうです。10代目・初代宗照氏が手がけた70年以上前の純銀やかんをはじめ、貴重な品々も手に取って鑑賞することができます。
腕に輝くバングルはまるでお守りのよう
優雅に輝く手打ちの純銀製バングル。ポーチに納めて、お手入れ用のクロスとともにお持ち帰りいただけます。「銀器は見て楽しむよりも、日常的に使って育ててほしい」と宗伯氏。ぜひ毎日のコーディネートに取り入れて楽しんでください。
銀師と共同制作した作品は、長く使い続けたい宝物に日伸貴金属の銀師とともに制作に励むプレミアムなひととき。銀の不思議な魅力を体感すれば、「今度はこの人と作ろうか」「あの人への贈り物にも」と、大切な人たちの顔が浮かんできそうです。ハッとするような純銀の煌めきを、ぜひ間近でご覧ください。