和空間で愉しむブレンドハーブティーづくり −名古屋の登録有形文化財「東山荘」にて−

植物の魅力をブレンドするハーブティー専門店

名古屋市千種区・本山に実店舗を構える「プランツェン アポテーケ（PFLANZEN-APOTHEKE）」。店主でティーブレンダーの佐藤智美氏が手がけたオリジナルブレンドティーが並ぶ、ハーブティーの専門店です。「プランツェン（PFLANZEN）＝植物」「アポテーケ（APOTHEKE）＝薬局」という名前には、“植物の恵みを暮らしに取り入れて、日常を豊かなものとする手助けができる存在でありたい”という佐藤氏の思いが込められています。

幼少期に購入したポプリの本をきっかけにハーブに興味を持ったという佐藤氏。日常的にブレンドしたハーブティーを愉しむ家庭に育ち、いつしか自分でもブレンドするように。やがて精油やハーブを用いる自然療法と出会い、アロマテラピーやホメオパシーを習得するなど、植物に向き合い続けてきました。そんな佐藤氏がじっくりと時間をかけて生み出すブレンドティーは、植物それぞれの個性や特徴を活かしつつ、多くの人にとって「おいしいお茶」であることを大切に仕上げています。

大正時代の風情が残る近代和風建築

名古屋市の瑞穂区を流れる山崎川は、河岸およそ2km・約600本の桜が咲き誇る、市内有数の桜の名所。そんな山崎川の東岸沿いにある「東山荘（とうざんそう）」は、大正時代に建てられた近代和風建築です。およそ3,600坪もの広大な敷地には、建物のほか、建物を取り囲む回遊式の日本庭園が残されています。

東山荘はもともと、綿布商の伊東信一氏が建てた別荘で、伊東家の山荘という意味で「東山荘」と名付けられました。伊東氏の「広く市民に公開してほしい」との遺言を受け、1936（昭和11）年に名古屋市に寄贈、1939（昭和14）年より公園として一般公開。戦時中に市長公舎として使われた後、1968（昭和43）年より再び公開されています。

2013年に国の登録有形文化財（建造物）に登録された建物は、雁行型に連なった160坪の2階建て。茶室・和室・洋室などで構成され、大正時代の創建ながらも明治期の様式が多く見受けられるのが特徴です。

本プランでは、歴史と趣を感じられる空間で、オリジナルハーブティーのブレンドを体験。四季折々の美しさを醸し出す庭園の豊かな自然も楽しめる、学びと癒しのひとときを過ごしましょう。

ブレンドティーをいただきながらハーブ＆ブレンドの基本を学ぶ

縁側から望む庭園の豊かな自然を背景に体験がスタート。季節やブレンドのテーマに合わせて佐藤氏が用意したハーブやドライフルーツ、スパイス、紅茶、中国茶など、ブレンドする素材それぞれの特徴や効能、香りや味わいについて学びます。さらにブレンドを行う際のポイントやブレンドティーの淹れ方についても、佐藤氏から実践的に教わります。

解説を聞きながらいただく1杯は、佐藤氏がセレクトしたお茶。これまでに美術館をはじめ、国内外のブランドから依頼を受けてブレンドした、手に入りづらいオリジナルティーや季節に合わせたブレンドティーです。さまざまな植物が織りなす豊かな香りや味わい、水色（すいしょく）を楽しみながら学びを深めましょう。

物語に思いを馳せながら、イメージを膨らませる

ブレンドに使用する素材や、ブレンドについての基本的なレクチャーの後は、その時々のテーマの詳しい解説も。本プランでは、ハンガリー王妃やマリーアントワネットなど、植物に縁のある歴史上の人物をメインテーマに、そして季節をサブテーマにしてゲスト自身がイメージを膨らませながら、オリジナルのブレンドティーを作成します。

幅広い視点から植物を学んできた佐藤氏は、植物とつながりの深い歴史人物についての知識も豊富。テーマとなる人物についての逸話を聞き、イメージを膨らませてワークシートに書き出します。難しく考えすぎず、心に浮かんだものを言葉にのせてみましょう。同じ物語を聞いても、捉え方や感じ方は人それぞれ。だからこそ生み出されるお茶も一人ひとり異なり、世界にひとつのオリジナルブレンドとなるのです。

素材と向き合い、調和のとれたブレンドへと整える

ブレンドのイメージが具体的になってきたら、あらかじめ用意されている10種類の素材を使って、ブレンドティーのレシピを組み立てましょう。使いたい素材と割合が決まったら、まずは試飲カップ1杯分（3g）のブレンドをつくります。

前半のレクチャーを参考に、実際に香りを嗅いだり、単体での味わいを確認したりしながら進めます。味や香りの出方は素材の特徴によって異なります。はじめは迷ってしまうかもしれませんが、佐藤氏がそれぞれの目安量や相性のよい素材を教えてくれるので、はじめてでも楽しみながら挑戦できるでしょう。

ブレンドの輪郭が現れたら、さっそく試飲を。真っ白なカップの中でゆらめく素材の姿やほわりと立ちのぼる香りも、ブレンドティーづくりの楽しみのひとつです。香りや味のバランスを確認しながら、より好みのブレンドに近づけるように整えます。

「わからなかったり迷ったりしたときには、アドバイスしますので気軽に質問してくださいね」と笑顔で話す佐藤氏。オリジナルのブレンドティーが完成したら、ゲスト同士で飲み比べの時間も。自分では思いつかないブレンドに出会え、同じテーマでありながらそれぞれの個性が光るブレンドティーを味わえるのは、本プランならではの醍醐味です。

1杯のブレンドハーブティーで心と体をやさしく癒す

素材と向き合い、イメージを膨らませながらつくり上げたブレンドティーは自分だけのオリジナル。茶葉（30g）とレシピはおみやげに持ち帰れます。さらに、10gごとに茶葉を追加できるオプションもご用意。

ちょっとひと息つきたいとき、大切な人とゆったりと過ごしたいとき、お気に入りのカップでいただくオリジナルブレンドティーはとっておきの1杯になることでしょう。東山荘の豊かな緑に囲まれながら、ハーブの香りを胸いっぱいに吸い込むやさしいひとときを過ごしませんか。