
調香師・佐藤孝氏×ポーラ文化研究所が贈る香りのタイムトリップ −香水をおみやげに−
こちらの体験は開催を終了しております。読み物としてお楽しみください。


体験の概要
ポーラ・オルビスホールディングス内で化粧文化研究・情報発信機関として活動している「ポーラ文化研究所」。希少性の高い資料を所蔵している「化粧文化ギャラリー」を貸し切って開催するOtonami限定講座です。ポーラの調香師として30年以上活躍した香りのプロフェッショナル・佐藤孝氏のナビゲートで、タイムトリップするように香りに込められた文化と美意識を学びます。本体験のために特別にキュレーションした講座の中では、ポーラ文化研究所が所蔵する貴重な香道具や、江戸時代の蒸留器などを間近で鑑賞。解説に登場する香料・香木の香りを確かめながら、五感を使って歴史を紐解きます。体験後には、佐藤氏が開発に携わったポーラの代表的な香水をおみやげとしてプレゼント。
体験の特徴
・世界的に価値の高い資料を数多く所蔵するポーラ文化研究所のギャラリーにて、調香師から香りの歴史を学ぶOtonami限定プラン。
・講座の前後や休憩中には、学芸員による解説付きで華やかな展示品をじっくりと鑑賞できます。
・ポーラの香りの歴史を象徴するフレグランス「サクラガーデン マイルドコロン」(30ml)をおみやげに。
6,600円〜(名/税込)
1〜8名
約90分
詳しい内容
“文化”としての化粧を探求する「ポーラ文化研究所」
2024年に創業95周年を迎えた化粧品メーカーであり、スキンケアをはじめとして香りにこだわったフレグランスを研究開発・販売しているポーラ・オルビスグループ。その中で1976 (昭和51)年に設立された「ポーラ文化研究所」は、化粧文化に関わる資料の収集保存・調査研究・公開普及に取り組んできました。
本体験の会場は、2024年5月に開設された「化粧文化ギャラリー」です。ガラス張りの窓がミニマルな印象を与える空間には、約3ヶ月ごとに変わるテーマのもとセレクトされた所蔵品を鑑賞する「Art(展示)」と、豊富な文献が揃う「Books(本棚)」で構成されたエリア「Art&Books」を設け、ギャラリートークやワークショップを展開。化粧にまつわる文化資産を美容・化粧・よそおいの3観点から蓄積し、新たな視点でキュレーションすることで出会う、化粧文化の多彩な世界をつくり上げています。
香りの楽しさ・奥深さを知り尽くす調香師 佐藤孝氏
化粧文化ギャラリーにて日本の香りの歴史・文化をじっくりと学ぶ本体験。実際の香料や香木の香りを確かめ、香りにまつわる希少な所蔵品を間近で鑑賞するなど、解説の合間にみずみずしい体験をまじえながら理解を深めます。
講師は元ポーラ化成工業の研究員で、調香師として30年以上の実績を誇る佐藤孝氏。個性豊かな香りの世界において「多くの人に響き、愛される香り」を追求し、様々なフレグランスや化粧品などの香りを開発。手がけた数は800種類を超え、ポーラの主要商品に数多く携わってきました。近年では香水ブランド「ERAM(エラム)」や百貨店ブランド「THREE」などのアドバイザーとして参画。これまでの香水の概念を覆す自由で新しい楽しみ方を提案・商品化し、革新的な取り組みにも欠かせない存在です。そんな佐藤氏の長年の研究成果と実体験に基づいた深い知見を、本体験のために特別に構成した解説付きの講義から学びます。
佐藤氏のそばでゲストをナビゲートするのは、ポーラ文化研究所の学芸員・富澤洋子氏。日本の化粧文化史を研究領域とし、「化粧文化に楽しく親しんでもらうこと」をコンセプトに、化粧文化ギャラリーでのキュレーションを担当しています。講座の前後や休憩中に行われる、富澤氏による作品解説もお楽しみに(展示内容は時期によって変わります)。
宗教儀式から大衆文化へ。時代によって移り変わる香りの在り方
香りの講義は前半パートと後半パートに分かれ、前半は飛鳥・奈良時代から江戸時代までの香りの歴史について解説されます。
「香り」の概念が日本へ伝来したのは飛鳥・奈良時代。唐の高僧・鑑真が仏教の教えと共に香りの存在や活用方法を日本に広めました。仏教の儀式では香木を燃やし、香りをまとった煙を天に昇らせることで仏や故人へ祈りを捧げていたのだそう。「香水や芳香剤を指す『perfume』の語源は、ラテン語で煙を通して、という意味の『per(通して) fumum(煙)』。古い時代の名残があるんですよ」と佐藤氏。
平安へと時代が移ると、香りは貴族の嗜みに。頻繁に洗濯ができなかった着物の清潔感を保つため、部屋や衣類に香りをたきしめる風習が盛んになり、「阿古陀香炉(あこだこうろ)」や「伏籠」など香りの目的に合わせた専用道具が登場しました。ポーラ文化研究所では現存するこれらの道具を所蔵しており、解説中にはその特徴的なデザインを近くで鑑賞できます。
そして江戸時代には大衆文化へと発展。線香を灯して時間経過を計ったり、植物のエキス(香り成分も含まれる)を用いて化粧品をつくったりと、より暮らしに身近なものとなりました。「特にこの道具は大変貴重です」と佐藤氏が紹介するのは、この時代に使われていた蒸留器「蘭引(らんびき)」。中に植物を入れて、化粧水や目薬となる成分を抽出していました。仕組みを詳しく聞きながら、当時の情景を思い浮かべます。
江戸時代までの香りの在り方を学んだところで小休憩。その間、富澤氏の解説を受けながらギャラリー内の見学や、香道具や展示品の写真撮影が可能です。貴重な展示品は見るだけでも心満たされますが、富澤氏の解説によってより鮮明な魅力と、時代・国・身分の違いに関係なく化粧を楽しんだ人々の物語に触れられます(展示内容は時期によって変わります)。
目に見えないエレガンスをまとう香水の誕生
講義の後半パートでは、明治時代から現代に至る香りの変遷を学びます。明治時代になるとヨーロッパからフレグランスが伝わり、日本に新しい香り文化が伝わります。「しかし、当時の日本には肌に香りをまとう習慣がありませんでした」と佐藤氏。そのような中で、1929(昭和4)年に創業したポーラは世界の流れを汲んで早々にフレグランスを開発。1940(昭和15)年に誕生した初の香水「サイクラメン・ド・ポーラ」が時代を風靡したストーリーは、深くしみ込む香気のように心に余韻を残すことでしょう。
サイクラメン・ド・ポーラのボトルは、ポーラに関連するアイテムだけで現存するのは3つのみ。そのうちのひとつを特別に鑑賞できます。かつてない新たな香りとして、情熱とプライドをもってつくられたサイクラメン・ド・ポーラ。中身はすでに空ですが、ボトルのデザインは香りの世界観を表現しています。多くの人が憧れた香りを想像しながら、清楚で奥ゆかしい雰囲気を手にとって感じてみてください。
欧米と比べると、現在も香水の普及率が低い日本。香りのテイストの流行はあれど、闇雲に商品を出すことはできません。「だからこそ、日本のメーカーがフレグランスをつくる時にはそれだけ特別な思い入れがあり、こだわりが詰め込まれているんです」。お話を聞きながらおみやげとして手渡されるのは、佐藤氏が開発に携わった「サクラガーデン マイルドコロン」。可憐で幻想的な香りは、京都で出会った遅咲きの桜から着想を得たそうで、「桜のように誰からも愛されるように」との想いを込めてつくられました。桜の花びらをイメージさせる儚げなフレグランスを、自分だけの香り文化の1ページに加えましょう。
香りの研究者がエスコートする、魅惑のタイムトリップ
宗教的な役割からはじまり、薬、嗜み、遊び、ファッション、香道と、日本独自の発展を遂げてきた香り文化。「生活様式や価値観と深く密着する香りは、トレンドを取り入れることや成分的な効果を得ること以上に、自分自身の感性や美意識に気がつき、生い立ちまでも大切にすることを教えてくれます」と佐藤氏。日本のかぐわしい文化を大切に胸に刻んで、香りのタイムトリップは終着点を迎えます。
時が静かに流れるようなポーラ文化研究所のギャラリーで、調香のプロフェッショナルである佐藤氏からアカデミックに学ぶ香りの歴史。知られざる香りの魅力が次々と織りなされる、洗練された教養のひとときを楽しみましょう。
提供 佐藤孝

提供
佐藤孝
調香師、香りアドバイザー(製品プロデュース、空間演出など)。フランス調香師協会会員。株式会社ポーラの調香師として、30年以上化粧品などの賦香開発およびフレグランスの開発に関わった。これまでに手がけた数は800種類を超える(フレグランスや化粧品などの香りの開発を前提に、シャンプーなどの頭髪品、入浴剤なども含む)。一般の方を対象に開講した調香講座「香りの教室」は1,000人以上が受講。日本の香り文化や蘭引、丁子風炉、日本の香り文化の研究家としても活躍する。
提供 ポーラ文化研究所

提供
ポーラ文化研究所
ポーラ・オルビスホールディングスが化粧を学術的に探求することを目的として、1976(昭和51) 年5月15日に設立。化粧を「人々の営みの中で培われてきた大切な文化である」ととらえ、化粧文化に関わる収集保存・調査研究・公開普及に取り組む。古代から近現代まで、化粧道具や装身具、絵画資料、文献など約6,500点のコレクションを持ち、「トルクメンの装身具」「コックス・コレクション」など世界的に希少性の高い資料も所蔵している。
開催場所
ポーラ文化研究所
〒107-0062 東京都港区南青山2-5-17 ポーラ青山ビルディング1階
・東京メトロ銀座線・半蔵門線、都営大江戸線 青山一丁目駅(5番出口)より徒歩約2分
・東京メトロ銀座線 外苑前駅(4a出口)より徒歩約5分