ホテルの庭園に佇む名茶室にて体験する、武者小路千家流の本格的な茶会
本体験は、武者小路千家流の両忘会(りょうもうかい)を主宰する有吉守聖(しゅせい)氏によるOtonami限定の本格的な茶会です。肥後細川藩の上卿家老であり、旧男爵家でもある有吉家の二十二代当主の有吉守聖氏。幼い頃から茶道に親しみ、裏千家流ならびに細川藩の御家流・肥後古流の茶道を学びました。自衛官として勤務するかたわら武者小路千家流に入門、2014年には自衛隊を退官し両忘会を設立。2017年に正教授に就任、門下50人を指導しています。
家元直門となり流儀最高位の相伝を許された有吉守聖氏会場は、東京・日本橋にあるロイヤルパークホテル 5F、大都会のビルの中とは思えない静寂な日本庭園の中に佇む茶室「耕雲亭」。かつて世田谷区の静嘉堂にあった三菱の第二代社長 岩崎彌之助、第四代社長 岩崎小彌太の父子二代によって創設された釣月庵を贅沢に写した本格的な茶室です。釣月庵の由来である道元禅師の句「釣月耕雲古風を慕う」にちなみ、茶室名が付けられています。
日本橋の喧騒から離れた非日常空間での茶会体験耕雲亭には小間と広間の2つの茶室がありますが、Otonami限定の茶会は、台目席と広間席と交互に茶室を変えて行われ、季節ごとに変化を楽しめる趣向です。
台目席にて茶会が開催される場合、こちらの広間席が待合として使われる外掛待合から迎え付け、席入りまでの流れを体験
参加者はまず待合にて受付後、芳名帳に署名を済ませたら身支度を整え荷物をまとめます。白湯が提供されるので、喉の渇きを潤し心を落ち着けます。本体験では、待合で主菓子をいただきます。和菓子職人に依頼してあつらえた特別なお菓子は、亭主のおもてなしの心を表現したもの。季節の美しいお菓子を目と舌で味わいます。
老舗和菓子店・日本橋日月堂からその日の朝届く主菓子を銘々皿で続いて、用意されている露地草履(露地を通る際や外掛待合から茶室に入るまでに履く草履)を履いて、露地(茶庭)へ出て外掛待合へ向かいます。待合に腰を下ろして庭の緑を眺めると、緊張感のある日常から解き放たれて穏やかな心持ちに。亭主である有吉氏が迎え付けに出てくる気配を感じたら中門に向かい、つくばって黙礼を受けます。少し緊張する瞬間ですが、この後始まる茶席でのひとときにおのずと期待が高まります。
主客が中門を挟んで黙礼する迎え付け亭主の姿が見えなくなったら、客も中門を通り蹲に向かいます。日常から隔てられた特別な空間、茶室に入るため手と口を清めたら、正客から順に躙口から茶席に入ります。どんなに身分が高い人でも体をかがめて頭を下げなくては入れないことから、茶室の中ではすべての人が平等という茶道の教えが表現されています。
柄杓を取って左手、右手の順に手と口を清める外掛待合から席入りまでの流れは、露地を備えた本格的な茶室だからこそ体験できること。この機会に、サポートに入る正教授の講師陣から、所作についてレクチャーを受けましょう。
炉に炭をつぎ、灰をまく炭点前の風景
茶席では、席入りした順に床の間の掛け軸や花、炉や釜などを拝見して回ります。拝見が終わると、亭主である有吉氏が茶室に入り、挨拶を交わして炭点前を行います。炭点前とは、茶の湯を沸かすために炉で炭を起こし灰を美しく整える作法です。現在では炭を使わず電熱器を用いるお稽古や茶会も多いことから、本物の炭を使って行う炭点前の美しい所作を至近距離で拝見できるのは、貴重な機会です。炭点前の終わりに香が焚かれると、茶室に芳しい香りが広がります。どこか懐かしく豊かな和の空気に包まれ、ゆったりと茶会は進みます。
11月から4月は炉、5月から10月は風炉の炭点前となる茶会のメインである濃茶を堪能
炭点前に続いて、いよいよ濃茶点前です。茶会をフルコースにたとえると、濃茶はメインディッシュのようなもの。通常の茶事で振る舞われる懐石も含めたここまでの流れは、おいしく濃茶をいただくための準備なのです。有吉氏の流れるようなお点前に目を奪われているうちに、濃茶の良い香りが漂いはじめます。
濃茶には武者小路千家の千宗屋若宗匠好みの九州・八女のお茶を使用。皆で分かち合う濃茶のおいしさは格別濃茶は数人で回し飲みをするのが基本です。一度に大量のお茶を練って作る濃茶は5〜7杯分作る時に最もおいしくなるそう。1つの茶碗を回してお茶をいただくことで客同士が心を寄せ合うという意味があるといわれています。回し飲みが気になる方はおひとりずつ茶碗を別に点て出しする各服点にてご用意できますが、ぜひ本来の濃茶の奥深い魅力に触れてみてください。
表千家や武者小路千家では、濃茶をいただく際、茶碗の下に敷くために出し帛紗が添えられます。お持ちでない方には貸し出しも可能。この機会に、出し帛紗の使い方も学びましょう。
名物裂が使われることの多い、美しい出し帛紗濃茶の後には薄茶をいただきます。薄茶点前はサポートを務める講師が担当し、有吉氏はその日の茶席について説明します。退席までの時間は、その日の趣向や道具類、お菓子など茶会に関する様々なことを有吉氏から直接教えてもらいます。
流派を超えてお茶の心を愉しむ
この日の床の掛け軸は、350年以上前に書かれた肥後細川藩2代藩主・細川光尚公の筆による西行法師の和歌。茶会では、亭主が客をもてなすために趣向を凝らした道具類も大きな楽しみのひとつ。Otonamiの企画では流派や経験に関わらず茶会を楽しんでほしいとの有吉氏の配慮から、流儀にとらわれず有吉家に伝わる道具を中心に取り合わせます。有吉氏の選ぶ、他ではなかなかお目にかかれない由緒ある道具類に出会える貴重な機会をお見逃しなく。
素晴らしい道具類に心踊るひととき有吉氏は「落ち着いた空間でお点前とおいしいお茶を楽しみつつ、お茶会の本格的な流れを体験していただきたい」と話します。茶道を学んでいる方でも、本格的なお茶会や他流派のお茶会に参加する機会はなかなかありません。また費用が高額になることも。本格的なお茶会デビューの前に、本プランで有吉守聖氏の趣向にあふれるおもてなしを体験し、愉しみ方を学んでみてはいかがでしょう。