
手刺繍着物ブランド「繍栄」の工芸師に学ぶ手刺繍の最高峰技術 −歴史が息づく京町家にて−


体験の概要
京都・西陣の京町家にて、半世紀にわたって手刺繍を作り続けてきた「繍栄」の講師指導のもと手刺繍の技術を学び、実際に手刺繍を体験します。さらに、繍栄が手がけた絢爛豪華な一点ものの刺繍着物を間近で見学し、4種類の刺繍技術を用いた貴重な作品の中からお好きなものを実際に羽織ってみることも可能。体験後は、西陣らしいセレクトのお茶とお菓子をいただきながらゆったりとティータイムを楽しめます。
体験の特徴
・伝統と技術が受け継がれる西陣の京町家で、刺繍着物の歴史を学ぶOtonami限定プラン。
・最高峰の技術を持つ蘇州刺繍工芸士・高慶蘭氏による希少な実演を目の前で見学。実際にハンカチへの刺繍体験にも挑戦。
・一点ものの貴重な刺繍着物を羽織り、特別に記念撮影をすることができます。
9,900円〜(名/税込)
2〜5名
約120分
詳しい内容
緻密さと精巧さに圧倒される世界最高峰の刺繍技術
京都・西陣に拠点を置き、現在では国内にわずか2社ほどしかない手刺繍の着物メーカー「繍栄」。約50年前、先代創業者が中国三大刺繍といわれる蘇州刺繍・汕頭(すわとう)刺繍と出会い、それまで友禅染めや織物が中心だった着物の加工に刺繍技術を取り入れたのが、繍栄の刺繍着物の始まりでした。

手刺しで刺繍を施し、手仕事ならではの美しさを追求してきた繍栄。その素晴らしく希少性の高い技術によって生み出される手刺繍着物は、多くの著名人や芸能人に愛用されています。また、近年ではウェディングドレスデザイナー・桂由美氏とコラボレーションし、葛飾北斎の浮世絵をモチーフとした作品を制作。2018年のパリコレクションへの出品も果たしました。
歴史を残しつつ新たな命を吹き込む京町家
繍栄は、北野天満宮近く、京都・西陣の閑静な住宅街にあります。建物は2棟がつながった京町家で、1棟は糸問屋のお屋敷として明治時代に建てられたもの。本体験では、通常は一般の方を招いていないその1棟へ特別にご案内します。

入口から奥へと向かう「通り土間」や庭を眺められる客間など、歴史を感じる造りを残しつつフルリノベーションされた心地よい空間。時間の流れが止まったような空気が、体験前の緊張をほぐしてくれます。

刺繍着物の唯一無二の美しさに触れる
はじめに、異なる刺繍技術を用いて制作された着物を見学しながら刺繍の歴史を学びます。髪の毛よりも細い糸で一針一針表現される蘇州刺繍、生地の裏から糸を引き出して作った結び玉を連ねて模様を表現する相良刺繍、西洋のレース刺繍の技術を源流とする汕頭刺繍、そして日本に古くから伝わる伝統的な刺し子刺繍。それぞれの刺繍の独特の風合いを間近に鑑賞できる貴重な機会です。

4種類の刺繍技術を用いた絢爛豪華な作品の中から、お好きなものを実際に羽織り、記念撮影をすることも可能。繍栄では、伝統に根ざした“本物”であることを重視し、日本古来の民族衣装である着物の手技を大切にしながら、より広くその魅力を伝えていきたいと考えています。古代より世界各地で独自に生まれ、数千年にわたって受け継がれてきた刺繍。装う人を最高に輝かせる芸術的な職人技と手刺繍のぬくもりを、実際に手に取り、刺繍着物をまとうことで存分に体感してみましょう。

蘇州刺繍の華麗なる技を目の前で見学
刺繍についての知識を深めたら、世界最高峰と評される蘇州刺繍の実演を見学します。繍栄は、かつて京都の迎賓館通りにあった染元・玉椿堀江の技術を継承する数少ない店。希少な技術を間近に見ることができる貴重な機会です。実演を担当するのは、歌舞伎俳優の衣装や、沖縄資料館に展示されている琉球王の再現衣服なども手がけた工芸師・高慶蘭氏です。

中国生まれの高氏は、幼少より母親に刺繍を教わり、高校卒業後から中国京劇の衣装制作に従事しながら蘇州刺繍や汕頭刺繍の技法を習得。1987(昭和62)年の来日以降、日本の着物を勉強し、日本の着物に合う刺繍の発展に努めています。

蘇州刺繍の繊細な美しさの秘密は、使用する刺繍糸にあります。通常の絹糸を4分の1から6分の1に細かく裂いて刺繍糸とし、布に刺すことで立体感が生まれるのです。繍栄では、職人による卓越した技で、一針一針手刺繍による本格的な品々を手がけています。緻密な表現は、機械による刺繍では得られないもの。「伝統文化の継承が難しい時代だからこそ、かけがえのない技術を受け継ぎ、手刺繍という歴史ある文化を絶やさず、その美しさを伝え続けたい」という繍栄の願いから、本プランが実現しました。
ハンカチへの刺繍に挑戦し、職人技を体感
講師の実演を見学した後は、いよいよ蘇州刺繍の技術を体験。一枚一枚手作業で制作された繍栄オリジナルの大判ハンカチ(60cm四方)に、刺繍を施します。ハンカチは当日用意された中からお好きな色のデザインを、また、刺繍糸の色はハンカチのデザインに合わせて選ぶことができます。

完成した刺繍は当日お持ち帰り可能。体験後も刺繍を楽しめるよう、運針のコツを講師が丁寧に教えてくれます。

体験の余韻を楽しむティータイム
体験後は、お茶とお菓子でほっと一息。飲み物は、地元で“五辻のこんぶやさん”と親しまれている1902(明治35)年創業の老舗「五辻の昆布」の昆布茶を用意。お菓子は、1806(文化3)年の創業以来、地元の人たちから“どらやき屋さん”として親しまれる西陣の和菓子店「かま八」のもの。体験の感想を伝えたり質問をしたりと、歓談のひとときを楽しみましょう。

織物の町として栄えてきた西陣。長い歴史を紡ぐこの地で、息を呑むほど美しい刺繍の世界に魅せられるひとときは、鮮やかな記憶として脳裏に刻まれることでしょう。
提供 繍栄

提供
繍栄
京都・西陣に拠点を置き、現在では国内にわずか2社ほどしかない手刺繍の着物メーカー。かつて京都の迎賓館通りにあった染元・玉椿堀江の技術を継承する。様々な刺繍の技法を取り入れながら、伝統をハイエンドファッションの美へと昇華。至高の技によって生み出される手刺繍着物は高く評価され、多くの著名人や芸能人に愛用されている。
開催場所
繍栄
〒602-8472 京都府京都市上京区浄福寺通五辻下る有馬町185番地1
・JR京都駅より市バス 206系統(北大路バスターミナル行き)または6系統(玄琢行き)に乗車。「千本今出川」で下車、徒歩5分
・市営地下鉄 烏丸線 今出川駅で下車、「烏丸今出川」バス停より千本今出川、北野天満宮方面行きのバスに乗車、「今出川浄福寺」で下車、徒歩3分