Otonami Story
2021.01.15
非日常を五感で味わって。日常を忘れ瞑想に浸る禅寺のひとときを。
Interviewee
妙心寺 退蔵院 副住職 松山大耕さん
境内には重要文化財や史跡名勝が見られ、四季折々の見事な庭園が広がる妙心寺 退蔵院。副住職を務める松山大耕さんは「此処では日常を忘れてほしい」と、退蔵院へ訪れる人々を想います。
京都に生まれ育ち、幼少期からありのままの自然、文化に触れ、もの本来の味わいを届けたいと願う松山さん。2011年より京都市の京都観光おもてなし大使を務め、2018年から米・スタンフォード大客員講師を務めるなど、世界各国の垣根を超えて日本文化の発信・交流を続けます。
そんな松山さんが務める退蔵院と、老舗の京菓子店 老松がコラボレーションして提供する、和菓子作り体験と退蔵院のお庭を見ながらお抹茶をいただく非日常体験。参加者自身の手で和菓子を作り、お抹茶を点てることを醍醐味とするこの体験に秘められた “story”を伺いました。
季節の華やぎと禅寺の落ち着きが共存する、妙心寺最古の塔頭。
京都・花園にある妙心寺 退蔵院は室町時代に建立。臨済宗大本山 妙心寺にある40余りの塔頭のうち最も古く、境内には退蔵院の目玉で国宝にも指定されている「瓢鮎図(ひょうねんず)」(模本)をはじめ、史跡名勝・枯山水庭園「元信の庭」、全国でも有数の昭和の名園と言われる池泉回遊式庭園「余香苑(よこうえん)」などが見られます。
通常、特別拝観の他に公開される機会の少ない妙心寺ですが、退蔵院は通年で公開されているため、四季折々の美しい庭園をその時々で楽しむことができます。
もの本来の味わい、効能を届けるためには。
幼少期、通園バスから降りて帰宅したら自身でお抹茶を点てて楽しむような生活を送っていた松山さん。「大阪大学の医学部で香りの研究をされている方によると、香りに癒しの作用があるお抹茶の最も効果的ないただき方は茶筅で点てる方法。お店などで点てていただくお抹茶はもちろん美味しいけど、点てる瞬間の香りこそ贅沢で重要」と、自分自身で取り組むことの利点を唱えます。
「以前から退蔵院でも老松さんのお茶菓子を置かせてもらっていました。しかし、本当は訪れる人に生菓子を食べてほしい」と、自身がお菓子好きであることも踏まえて、お菓子本来の味わいを届けたい気持ちも抱いていました。
そんな “もの本来の味わい、良さを届けたい” という松山さんの強い想いは「目で楽しみ、耳で味わう、生菓子の美味しさを感じてほしい」という老松さんの想いとも共鳴。参加者自身が京菓子を作り、退蔵院でお抹茶を点てて味わっていただく、もの本来の味わいを感じられる体験企画が生まれました。
京菓子職人に習う和菓子作りと退蔵院で過ごす癒しのひととき。
体験は老松での京菓子作りから始まります。職人が直接作り方をレクチャーするので初めての方も安心です。
退蔵院へ移動したら、茶室に腰を下ろし心静かにお抹茶を点てます。ふわっと広がる癒しの香りに包まれながら、ご自身で作った生菓子に舌鼓。
体験の最後には、境内をゆったりと拝観できます。お気に入りの場所が見つかったら、そっと目を閉じて瞑想に浸ってみるのもおすすめです。
五感すべてに響く非日常体験を。
プロの職人のもとで京菓子作りを体験し、退蔵院の庭園を望む茶室でお抹茶を点て出来立ての味をいただく、贅沢さあふれる本体験。そこには松山さんの “もの本来の味わいを知ってほしい” という想いが詰まっていました。「厳かな日常を忘れて、五感で非日常に浸ってほしいです」と松山さん。
ご自身で作る楽しみと、もの本来の味わいを知る、老松、退蔵院での特別体験。この機会に心ゆくまで癒しの時間をご堪能ください。
妙心寺 退蔵院
妙心寺の塔頭のなかでも屈指の古刹として1404(応永11)年に建立。境内には、国宝「瓢鮎図(ひょうねんず)」(模本)や史跡名勝・枯山水庭園「元信の庭」、そして四季折々の景色が美しい池泉回遊式庭園「余香苑(よこうえん)」などがある。応仁の乱で妙心寺とともに炎上したものの、1597(慶長2)年に亀年禅師によって再建され、今に至る。
MAP
京都市右京区花園妙心寺町35