Otonami Story

2022.07.29

「懐かしさ」を届けたい。心で感じる和菓子作り

Interviewee

和菓子サロン一祥 宮崎泰江さん

和菓子文化が根付く街、京都。その中心地・烏丸にある人気和菓子教室「和菓子サロン一祥」を主宰する宮崎泰江さんは、和菓子職人出身で数々の和スイーツの商品開発も手がける人気講師です。

「“この味を誰かに食べさせてあげたいな”とか“この味懐かしいな”と感じるような和菓子を一緒に作りたいんです」と宮崎さん。手作りならではの温かみのある和菓子をひとたび口にすれば、幼い頃の思い出がよみがえり、ほっと心がほぐれていきます。

「懐かしさとともに、また味わってみたいと思える和菓子を作りたい」。そんな想いで宮崎さんが届ける和菓子の持つ不思議な魅力。そこに秘められた“Story”に迫ります。

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縁に導かれて開いた和菓子サロン

大学時代、誰もが身近である「食」を追求し、食物栄養学を学んでいた宮崎さん。茶道を嗜んでいたことから関わりの深い和菓子に興味を持ち、選んだ就職先は製菓用餡会社の和菓子店でした。「手に職をつけて長く仕事を続けたい」という想いを抱き、和菓子職人の道へ。当初は和菓子教室を開く構想はまったくなかったそうです。

和菓子教室の様子
木のぬくもりを感じられる、やわらかな雰囲気のサロン

和菓子教室を始めたきっかけは、友人に和菓子作りを教えてほしいと言われたこと。「たまたま自宅で小さな教室をはじめたところ、ありがたいことに口コミで広がって生徒さんが増えました。でもいつの間にか自宅には入りきらなくなってしまって……。サロンを開いたのは物理的な空間の問題でもあったんです」と宮崎さんは笑います。

「せっかくなら、いろいろなところからたくさんの方に来てほしい」と、場所はアクセスの良い京都の中心地・烏丸御池を選びました。「和菓子サロン一祥」はたちまち評判を呼び、今ではなかなか予約のとれない人気和菓子教室として知られるようになりました。

宮崎さんが手がける繊細な和菓子

今でも時折、お付き合いのある和菓子店に勉強に訪れるという宮崎さん。「京都は和菓子文化の根付いた街。もし何かあった時に手を差し出してくれる、そんな仲間がいることも心強いです。人にはとても恵まれました」。

キーワードは“やすらぎ”と“出来たて”

気軽に和菓子の文化に触れ、学べることはもちろん、宮崎さんがサロンで大事にしているのは“やすらぎ”。「和菓子を広めようとか、大きな目標を持っているわけではなくて。和菓子を通して安らげる空間を提供したいという想いでサロンを主宰しています。来ていただいた方のやすらぎが和菓子であってほしい。和菓子を作って、食べて、良い時間を過ごしてほしいですね」。

そう話す笑顔は、その場にいるだけで落ち着くようなあたたかい雰囲気。想いの詰まったサロンでは、和菓子に触れ、心癒されるひとときを過ごすことができます。

和菓子を作る講師の手元の様子
講師の手元が見えるオープンなテーブル。楽しく会話をしながら丁寧に指導

和菓子作りの体験では、和菓子職人出身の宮崎さんならではのこだわりが取り入れられています。「和菓子店で売っている和菓子は、身近な場所では手に入らない特別な材料や器具を使ったり、複雑な工程を経て出来上がったもの。それに、賞味期限や保存環境など、気を配るべきポイントがたくさんあります。教室では出来たての甘さや質感に注力した和菓子作りを意識しています」。手作りならではのあたたかみ、そして出来たてだからこその食感を楽しめる和菓子は、唯一無二の特別な味わいです。

日々進化を続ける和菓子のレシピ

「複雑なものは作りたくないんです。和菓子作りそのものを持ち帰ってもらいたいので、再現性を重視したレシピを開発しています」と宮崎さん。しかし、材料を組み合わせて思い通りのレシピを考案するのは根気のいる作業。「何度も繰り返し試作して、お気に入りを見つけていきます。組み合わせの妙ですね」。

繊細な和菓子のレシピは、多くの時間と努力を経て生まれる技の結晶。そこには、元和菓子職人ならではの技、そして宮崎さんならではの個性と感性が光ります。

和菓子のデザートプレートの画像
体験で味わえるデザートプレートも、自宅で再現できるように工夫されている

和菓子職人時代は対面で販売する機会がなく、和菓子を作りあげるところまでが仕事。サロンを開いてはじめてお客さんと対面し、和菓子を食べて笑顔になる場面を直接見られたこと、和菓子について語らう場ができたことが、宮崎さんの力になっているといいます。

それは、精神的な面だけでなく技術的な面でも。「こだわって作ったレシピでも、生徒さんの反応を見て、もっと簡単な工程があったかな、他の材料でも良かったかな、と思うことも。日々勉強です」。会話の中での気付きを取り入れ、レシピは日々改良を重ねています。

目の前でデザートプレートを完成させる様子
目の前でデザートプレートを完成させるライブ感を楽しめる

Otonamiの体験プランでは、宮崎さんが開発したオリジナルデザートを目の前でデモンストレーションしていただき、味わうことができます。「デザートプレートは通常の教室では提供していないので、ぜひ体験して味わっていただけたら嬉しいですね」。

おいしいだけではないイマジネーションを感じて

宮崎さん考案の季節を彩る和菓子は、見た目が鮮やかで美しいことも人気のひとつ。しかし「きれいでおいしいことは重要ですが、それよりも、懐かしさや昔からあるものを大事にすることを伝えたいと思っています」と言います。

「誰しも幼い頃に和菓子に親しんだ経験を持っているはず。“おばあちゃんは大福が好きだったな”とか“昔はおはぎが苦手だったな”とか、みんなそれぞれ思い出があるんですよ。昔を思い出して懐かしいと思ってもらえる和菓子を提供したいですね」。

紫陽花をモチーフにした和菓子の画像
作る和菓子は季節によって変わる。夏は紫陽花をモチーフにした和菓子「錦玉羹(きんぎょくかん)」

懐かしい味を口にすれば、ふと思い出がよみがえり、当時の光景が目に浮かびます。「サロンで作った和菓子を味わって、昔を思い出した、ほっとする懐かしい味、という声を聞くと、和菓子を選んでよかったと思います」。

思わず笑顔になれる和菓子の魅力

「和菓子教室で和菓子を作るのが上手くなってほしいとは思っていません。サロンで和菓子作りをして、自宅で再現して、和菓子をきっかけに会話が広がってくれたらいいですね」と、宮崎さんは語ります。

和菓子作りの様子
材料や工程は簡単なものばかりで、自宅で再現できるのが魅力

伝統的な和菓子は一見敷居が高いと思われがちですが、実は身近な存在。和菓子づくりを体験すれば、その親しみやすさや懐かしさを感じ、家族や大事な人と共有したくなるかもしれません。「和菓子あるよ」というひとことで笑顔が生まれる。そんな体験を「和菓子サロン一祥」でぜひお楽しみください。

和菓子サロン一祥

京都の中心地・烏丸にあり、なかなか予約の取れない人気和菓子教室として話題を呼ぶ少人数制和菓子教室。講師の宮崎泰江氏は和菓子職人出身で、数々の和スイーツの商品開発を手がける。気軽に和菓子の文化に触れ、学べるようにという想いから主宰する「和菓子サロン一祥」では、伝統を守りつつ新しいスタイルの和菓子を提案。

MAP

京都市中京区骨屋町143 G&Gビル203

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