鎌倉の歴史を巡る街歩きと曼荼羅絵写経体験 −合掌造りの古民家「WITH KAMAKURA」にて−

岐阜・白川郷から移築された築220年の合掌造りの古民家

鎌倉の観光地の賑わいから少し離れた、自然豊かな場所に建つ「WITH KAMAKURA」。岐阜県の白川郷から移築された貴重な合掌造りの建物をリノベーションした複合施設です。茅葺き屋根や太い柱・梁がもつ歴史の重みと、周囲の自然に溶け込むあたたかな佇まいは、訪れる人に時間の深さを感じさせます。

講師を務めるのは、鎌倉を拠点に活動する大瀧麻美氏。フードコーディネーターとして活躍したのち、京都の西陣織と鎌倉の鎌倉彫に魅了され、2018年にそれらの作品をプロデュースするブランド「AWAI」を設立。ほどなくしてパリのギャラリーで開催した初の展示は現地で大きな反響を呼びました。現在はテキスタイルデザイナー・空間クリエイターとして、様々な作品を手がけています。

歴史が色濃く残る鎌倉の街を散策

参加当日は、まず江ノ島電鉄 極楽寺駅に集合して大瀧氏と合流。周辺を大瀧氏のナビゲートのもと実際に歩いてみます。極楽寺をはじめ、長谷や坂ノ下といったエリアには、全国的に有名な寺社が多数あり、その流派も様々。たくさんの神様や仏様の御加護、そして豊かな自然の恵みを受けて人々が暮らすこの地域の様子は、仏教の教えをあらわす曼荼羅そのものに例えられることもあるのだそう。寺社内でのご案内を含めて約40分の散策を通して、この後体験する曼荼羅の絵写経に向けて宇宙の教えへの理解を深めます。

「極楽寺」は1259（正元元）年創建。医務院や動物診療所の設立、橋や道路、水道の整備などに尽力し、地域を支えてきた大切な寺院です。四季折々の美しい花が咲く境内に流れるのは、慈愛に満ちた穏やかな空気。極楽寺の他にも、歴史的建造物や自然が織りなす美しい景勝地が点在するエリアを、心ゆくまで満喫しましょう。

※散策時は40分ほどかけて周辺の寺社を巡ります。拝観するのは、極楽寺、成就院、御霊神社を予定しています。それ以外の寺社を拝観したい場合は、体験後にご自身でお立ち寄りくださいますようお願いいたします。

※本体験は、曼荼羅の地である周辺エリアの寺社を巡って歴史を理解し、大瀧氏や体験者との交流を深めてから絵写経を体験し、最後はヒーリングをテーマに会話を楽しむという流れで企画されています。

人と水との共鳴を感じる時間

散策を楽しんだ後、WITH KAMAKURAへ向かいます。海からほど近い坂の下エリアにあるWITH KAMAKURAは、衣・食・住・遊・働、様々なジャンルの探求者が集まる複合施設。鎌倉在住のプロサーファー・俳優として知られる中村竜氏のクリエイティブディレクションのもと運営されています。

曼荼羅の絵写経は2階のスペースを貸し切って行います。伝統とモダンが調和したこの場所は、合掌造りの三⾓屋根の真下に位置し、天井が⾼く解放的。古民家の趣を残しながらも光や風を取り込む設計が特徴で、窓から御霊神社や⻑⾕寺を⾒渡すことができます。

祈りの絵に色彩を描く瞑想体験

いよいよ曼荼羅の絵写経です。曼荼羅とは、密教において悟りを開く修行のために描かれた絵図のこと。古代サンスクリット語で「輪」を意味し、宇宙または天界を表す幾何学的なものや仏様の姿が描かれたものなどデザインは様々です。本体験では、水をテーマに大瀧氏がデザインした「水曼荼羅」が用意されます。

曼荼羅が描かれている紙は、本体験のために用意された極上の手漉き和紙。そこに水彩絵の具を使って色付けをしていきます。和紙の特性や色選びのコツなど、大瀧氏による丁寧なレクチャーがあるので、リラックスして始めましょう。水彩絵の具が水に導かれるように和紙の繊維へと心地良く浸透していく感覚。にじみ、広がり、溶け合う、極上の和紙ならではの奥深さ。絵写経に集中し、瞑想を体験する過程で、様々な気づきを得られるかもしれません。

「水」に対して持っているイメージは人それぞれ。輝く太陽と青空が映った海や、山を流れるどこまでも澄んだ水、滝、雨、夕焼けに燃える水平線……。自分の中の「水」を感じながら、曼荼羅の中心から外に向かって水が流れるように自由に色を描いていきます。筆を持って曼荼羅に向き合ううちに、呼吸が安定し、心身がととのうのを感じられるかもしれません。出来上がる曼荼羅は、いわば“今の自分”に必要な色であり、心模様を映し出す世界。新しい気づきをもたらしてくれる存在となるでしょう。

選べるドリンクと和菓子を味わいながら楽しむ語らいのひととき

曼荼羅の色付け後は、宇宙や曼荼羅に関する体験を振り返りながら歓談を楽しみましょう。コーヒーや紅茶、ソフトドリンクなど数種類から選べるドリンクと、江戸時代から300年以上続く鎌倉の老舗和菓子屋・力餅屋のお菓子をいただくことができます。

大瀧氏との語らいを通して、信仰と自然が息づく長谷・極楽寺・坂の下界隈、そして水曼荼羅や絵写経に込められた大瀧氏の想いをより深く知ることができるでしょう。自身で描いた水曼荼羅は、たとう紙（着物や帯を保管するための紙）で包んで持ち帰ります。

自宅で気軽に飾りたい方は、作品を掛け軸に掛け、インテリアとして楽しむのがおすすめです。ご希望の場合、オプション（有料）で職人が手がける最高級の掛け軸を購入可能。作品をふと目にした時に鎌倉での素敵な思い出がよみがえるでしょう。

鎌倉という地の「輪」の中で自身を見つめ直す

神様や仏様の御加護と自然の恵みの中で人々が暮らす、長谷・極楽寺・坂ノ下の街。この地で仏教の教えをあらわす曼荼羅を描くことは、自身を見つめ直す、まさに瞑想体験です。本体験を通して、鎌倉で過ごす時間をさらに特別なひとときへとアップデートしてみてはいかがでしょうか。