「有結流テーブル茶道教室」季節の和歌を嗜む茶道レッスン −神戸市指定文化財の洋館にてランチ付き−

瀬戸内海を望む高台に立つ瀟洒な洋館

明治時代から外国人居住地として発展した神戸市・塩屋の高台に位置する「ジェームス邸」。1934年にイギリス人貿易商のアーネスト・W・ジェームス氏が建てた洋館で、現在はウエディング会場やレストランとして活用されています。オレンジ色の瓦にクリーム色の土壁、スパニッシュスタイルの玄関ポーチなどが目を引く外観に、17世紀に流行した英国のジャコビアン様式が採用された館内は、非日常感にあふれ思わず心がときめきます。

瓦屋根の門構えや、大正から昭和にかけて日本で流行した「泰山（たいざん）タイル」が敷き詰められた展望台など、日本的な要素も随所に施され、見どころたっぷり。体験の前後には、ぜひ敷地内を散策してみましょう。本体験は、そんなジェームス邸で特別に行われるテーブル茶道レッスン。茶室ではなくテーブルの上で、椅子に座って行う新しいスタイルの茶道は、現代のライフスタイルに合わせて考案されたもの。茶道を気軽に始められると、大人の習い事として人気です。

講師の神林氏は12歳から茶道宗徧流に親しみ、正教授の資格を保持。本格的な茶道に精通した茶道のエキスパートです。「もっと気軽に茶道を楽しんでもらいたい」との思いから、2013年に東京・秋葉原に「有結（あゆ）流テーブル茶道教室」を開校。その活動は2015年の「ウーマンズビジネスグランプリ」で特別賞を受賞したほか、数々のビジネス賞で評価され、現在はテーブル茶道の普及に尽力しています。

ジェームス邸のシェフが腕を振るう美食を堪能

本体験は、ジェームス邸のスイートルームでの特製ランチからスタート。瀬戸内海を望み、チャペルを備えた広大な庭を眺めながら、優雅な食事を楽しみましょう。クラシカルな調度品が並ぶ部屋で季節を映した料理をいただく、特別なひとときを過ごせます。

旬の素材の味わいを最大限に引き出す調理法で作られた品々は、見た目も華やかで心が躍ります。ジェームス邸のシェフが腕によりをかけて作った至極の料理を、心ゆくまで堪能しましょう。

茶道のお点前を通じて、日本の伝統文化への知識を深める

ランチタイムの後は、いよいよテーブル茶道を体験します。まずは「テーブル茶道とは」という基本を座学で学びます。「本格的な茶道に比べてテーブル茶道は特別な道具や茶室が必要ないため、自宅でもどこでもできることが魅力です。作法に気を取られ過ぎず、まずは気軽にお茶を楽しんでいただけたら」と神林氏。

座学はOtonami限定のオリジナル資料をもとに行います。季節ごとにテーマを替えて、禅語や茶花、和菓子について学んだり、百人一首から選んだ和歌の読み解きを行ったりする趣向も。多彩なジャンルにわたって日本の伝統文化に触れ、和の魅力をあらためて感じられるでしょう。

座学の後は、テーブル茶道の作法を学ぶ時間。1服目は講師がデモンストレーションを兼ねて点てたお茶をいただきます。背筋を伸ばし凛とした佇まいや流れるような所作は、見ているだけでうっとりとする美しさ。はじめてお茶をいただくときは緊張するかもしれませんが、講師が丁寧に教えてくれるのでご安心を。お茶とじっくり向き合い、心安らぐ時間を過ごしましょう。

心地良い緊張感を楽しみながら、お茶を点てる

講師によるデモンストレーションの後は、いよいよ実践。今度はご自身でお点前に挑戦しましょう。茶杓で茶碗に抹茶を入れたら、お湯を細く、ゆっくりと注いでお茶を点てます。このとき、お湯と抹茶をなじませるように茶筅を振るのがポイント。神林氏は「『おいしくなあれ』と心を込めて点てることが一番。そうすることによって、本当においしいお茶になるので不思議ですね」と、笑顔を見せます。

感覚を研ぎ澄ませて、お茶を点てることに集中することで、心地良い緊張感に包まれるひととき。自分で点てたお茶の味は格別で、ひと口飲むたびに心が軽やかになっていくようです。

お茶と共にいただくのは、ジェームス邸オリジナルのスイーツ。例えば、濃茶に合わせる主菓子にはホワイトチョコとクリームチーズを使ったテリーヌチョコ、薄茶に合わせる干菓子にはプレーンフィナンシェとココアサブレがラインナップ（内容は季節によって替わります）。洋館を舞台にしたテーブル茶道体験ならではの、和と洋が織りなすハーモニーを心ゆくまで楽しみましょう。

麗しき洋館で至福の一服を

「人と人を結ぶ」という意味が込められた「有結」の名の通り、参加者同士のコミュニケーションが活発で、新たな出会いを楽しんでいる方も多いという、有結流テーブル茶道教室のテーブル茶道。茶道を気軽に始めてみたい方や初心者の方におすすめです。

「テーブル茶道をきっかけに、本格的な茶道はもちろん、華道や書道、着付けなど様々な日本の伝統文化に興味を持たれる方も多いですよ」と語る神林氏。単に習いごとのひとつと捉えるのではなく、自分の世界を広げるために参加してみるのもいいかもしれません。かつては迎賓館としても使用された異国情緒あふれる洋館で、和の文化やおもてなしの心に触れる充実したひとときを過ごしてみませんか。