黄檗宗の歴史ある寺院で過ごす静寂の夜 日本三禅宗のひとつ、黄檗宗(おうばくしゅう)。中国の高僧・隠元隆琦禅師が中国禅を日本にもたらし、京都・宇治に大本山萬福寺を創建しました。塔頭のひとつである宝善院は、1690(元禄3)年に独振性英禅師によって開基。独振性英禅師は長崎の崇福寺一峰門や、眼鏡橋といったアーチ式石橋の建立に尽力した人物です。
建物には中国様式の趣が残る 中国由来の禅宗であることから建物の随所に異国情緒が感じられる一方、回遊式庭園では日本らしい四季折々の景観を眺めることができます。紅葉の時期はもちろん、新緑の季節は日差しのもとで輝く青紅葉が美しく、訪れる時期によって異なる魅力を感じさせてくれます。本プランはその日中とも趣の異なる、深閑たる夜の寺院で特別なひとときを過ごします。
季節の訪れを色濃く感じる回遊式庭園 思考の先の凪を待つ坐禅体験 体験のはじめに、住職または副住職による講話に耳を傾けましょう。お盆やお彼岸などの時節にあわせて、普段の暮らしとつながりの深い身近なテーマが用意されていますが、それに限らずゲストから要望があれば柔軟に内容を変更することも可能とのこと。和やかな座談形式で、仏教についてユーモアを交えてわかりやすく教えてもらえるので、気負う必要はありません。 ※開催日によって住職または副住職が担当します。
ただ聞くだけでなく、ゲスト同士の意見も交えて進行される講話。疑問に思ったことはこの機会に尋ねてみたい 続いて、室内の明かりを落として坐禅を組みます。坐り方・呼吸法・目線などは丁寧に指導してもらえるので、はじめての方もご安心を。いくつか意識するべきことのなかでも、特に大切なのは呼吸だそう。「呼吸をととのえやすいよう、リラックスできる空間にしたい」という想いから、月替わりで香りの異なるお香が用意されます。その季節らしさを感じられるお香の香りに癒されながら、静かに目を閉じましょう。
蝋燭の揺らめく灯りと、やさしいお香の香り。心安らぐ空間に身を置くだけでおのずと呼吸が深くなる 坐禅では無になろうと意識しなくてもよいそう。「コップに入った泥水をぐるぐるとかき回す様子をイメージしてください。はじめは濁っていますが、手を止めてしばらく待つと泥は下に沈殿し、上の水は透き通ります。坐禅も同じで、心静まる瞬間は必ず訪れますから、どうぞ思いつくかぎり思考を巡らせてください」。約15分間の坐禅を終える頃には、いつの間にか心に蓄積していた不安や悲しみが和らぎ、気分がすっきりと感じられることでしょう。
精進の薬膳料理から日々の食について気づきを得る 夜坐によって心身を研ぎ澄ました後は、食事もいっそうおいしく味わえるもの。空腹を心地よく感じながら、住職・または副住職から黄檗宗の精進料理である「普茶料理」について教わります。普茶料理とは、法要などの後にそれに携わったすべての人に振る舞うおもてなし料理のこと。4人で同じ卓を囲み、大皿に盛りつけられた料理を上下の隔たりなく一緒に食すのが慣わしだそう。ダイニングテーブルを囲んで食事をするという現代のスタイルは、普茶料理が日本にもたらしたといわれています。
一汁一菜の一例。季節の食材がふんだんに使われ、滋味深い味わい いただくのは、普茶料理の考え方をベースに薬膳を取り入れてつくられた「薬石(やくせき)」です。薬石とは、基本的に正午までとされた僧侶の食事を、命をつなげるため・修行を完成させるために「良薬」としてとるようになった夕食のこと。本体験では、精進の薬膳料理を一汁一菜で仕立てた薬石が提供されます。
季節感のある茶器を厳選して使用する 内容は、おもてなし料理である普茶料理らしい華やかさを残しつつ、坐禅と合わせてより僧侶の暮らしに近い体験ができるようにと、月ごとに内容が変わるOtonamiオリジナルメニュー。例えば、きのこやゴボウを使って昆布だしと塩で味付けした豆乳スープ、クコの実を混ぜ合わせた白米など。健康に良い旬の食材が使われ、体をいたわるようなやさしい味わいです。一つひとつの食材が持つ力を感じながら、じっくりと堪能しましょう。
寒天を真水のように透明にするには熟練の技術を要する 料理と共にいただくのは薬膳茶。それぞれの効能を教わりながら、ゲストの好みに合わせて複数ある素材の中からブレンドしてもらえます。食事を締めくくる甘味には、隠元禅師にゆかりのある寒天を使ったゼリーをいただきましょう。水晶玉のように透き通った寒天に閉じ込められた食用花や梅が鮮やかな色彩を放ちます。素材は月替わりとなり、どんな美しい一皿に出会えるかは当日のお楽しみ。隠元禅師と寒天のエピソードも興味深く、知識を深めながらも和やかに時間が過ぎてゆきます。
干支の守本尊を知り、ご加護を感じる 守本尊干支八佛が祀られていることで知られる宝善院。守本尊とは十二支を守護してくださる仏様のことで、「子年は千手観音」「未年は大日如来」というように干支ごとに異なります。お参りを重ねることで、願いに近づけるよう導いてくださったり、苦しみを取り除いてくださるといわれているのだそう。体験の最後に、自身の干支の守本尊の前で感謝の気持ちを込めて手を合わせましょう。
境内にある干支の守本尊の石像。宝善院は8体すべてが祀られている有数の寺院 おみやげとして、自身の守本尊を記した御朱印が授与されます。Otonamiプラン限定で、和尚が一人ひとりの干支の文字を目の前で書きます。宝善院や他のゲスト、体験で味わった香りや食材など、本体験によって紡がれたご縁の記録として、大切に持ち帰りましょう。 ※御朱印帳をお持ちの方はご持参ください。お持ちでない場合は書き置きのお渡し、もしくは宝善院の御朱印帳を購入することも可能です。
守本尊を記した御朱印を体験の思い出に。本体験限定で押してもらえる十二支のはんこも可愛らしい 自分自身を見つめ、慈しむ夜 「体験中は『調身=身体を調えること、調息=呼吸を調えること、調心=精神を調えること』を意識してほしい」と副住職は語ります。呼吸を深め、食材について学び、旬の素材の滋味に触れているうちに、心身のこわばりがほどけていくのを感じられるでしょう。
本プランではゲストをいたわる秦和尚の心遣いが随所に感じられる 聞こえてくるのは虫の音のみという静かな夜に、自分自身を見つめ、心の内にある声に耳を傾けるひととき。忙しない日々を過ごす中で、ふと立ち止まり、自らを慈しむ術を宝善院で学んでみてはいかがでしょうか。