老舗製茶店で喫茶文化の起源に触れる
つぼ市製茶本舗は、茶人・千利休が生まれ育った大阪・堺にて1850(嘉永3)年創業。紀州街道に面し、南蛮貿易で栄華を極めたこの土地は、商業・文化の交流地点であり、全国各地の茶葉が集まる場所です。つぼ市製茶本舗は、この土地で170年以上、熟練した職人の手による目利きや合組(ごうぐみ)に取り組み、暮らしに息づく「喫茶文化」の思想を守り伝えてきました。
“お茶と、人と、人と。”の言葉のもと、お茶が人と人をつなぐことを信念に営業を続けてきた「つぼ市」の屋号は、創業者・谷本市兵衛の先代が茶園を営んでいたという大阪府和泉市坪井町の地名の「つぼ」と、市兵衛の名前の「市」に由来。 店の暖簾には茶つぼが描かれています。現在は5代目の谷本順一氏が暖簾を守りますが、4代目は台湾の烏龍茶をはじめて日本に紹介するなど、“審美眼”を磨き新しい文化を提案してきた製茶店です。また、伝統文化・技術の存続危機に対しても積極的に取り組み、日本茶がより高い価格で取引されるように「一番茶を飲む習慣」を推奨し、茶葉農家の支援につなげています。
座学を行う特別室には、お茶にまつわる用具や戦火をくぐり抜けたという「茶」の看板も飾られている体験場所となる堺本館の店舗は、堺一帯でも10軒ほどしか残っていない、元禄時代に建てられた築340年の歴史的な建物で、修復を加えながら維持してきました。建築家がわざわざ見学に足を運ぶという、桜の木で造られた柱や竹を細かく編んだあじろ壁は、江戸時代をうかがわせる貴重なしつらえとなっています。店の奥から見える坪庭は、自然と調和した落ち着く空間です。
店内から美しい坪庭を眺めることができる座学でお茶にまつわる歴史や効能を学ぶ
最初に一般非公開の2階の特別室で、ウェルカムドリンクとしてお茶の発酵ドリンク「Kombucha(コンブチャ)」を飲み比べます。発酵前の茶葉を使ったドリンクはすっきり飲みやすく、意外にもヨーグルトなどの乳製品とも合うそう。発酵後の茶葉(和紅茶)を使ったドリンクは、酸味の強い味わいですが、いずれも後味はさわやか。また、お茶には抗酸化作用があり、生活習慣病や虫歯などの予防効果を持つカテキンやリラックス作用を持つテアニン、整腸作用のある食物繊維、美容や風邪予防に役立つビタミンなど様々な成分が相乗的に働き、健康への効果も期待できます。
ウェルカムドリンク2種類を飲み比べる。発酵によって色も変化する茶葉の新しいおいしさを楽しんだ後は、熟練の茶師による座学を受けます。講師を務めるのは、茶葉の品質を鑑定する専門家であり現在国内に50人弱しかいないという「茶鑑定士」や、日本茶インストラクターの資格を持つ茶師など、その道のプロフェッショナルたち。回によって異なる講師陣が、「堺とお茶の歴史」「つぼ市製茶本舗で扱う茶葉について」「茶葉の健康と美への効果」などをテーマに講義を行い、様々な視点から喫茶文化の奥深さを紐解きます。学びと発見に満ちた豊かなひとときを楽しみましょう。
熟練の茶師が淹れる日本茶を飲み比べ、おいしい淹れ方を教わる
座学の後は、日本茶のプロフェッショナルが実際においしくお茶を淹れる工程を目の前で見ながら学びます。数種類の茶葉をテーブルに並べ、乾燥した状態からお湯を注ぎ、茶葉が変化していく様子を見ながら、奥深いお茶の世界に触れていきます。産地や火入れの強弱、土地柄による個性など、茶葉の形・色つや・香り・味の違いを実演を通じて教わります。
熟練の茶師が茶葉を聞き分ける様子を間近で見られる豊かな香りに包まれながら五感で楽しむ、ゆるやかな時間。ご自身で茶葉を香ばしく炒る体験もできます。
茶葉の香りに包まれる幸せな時間おいしいお茶を淹れるコツも実演を通じて学びます。お茶を淹れる時は急がずに茶葉が開くのを待ち、3度に分けてお湯を注ぐとお茶の良さを引き出すことができます。普段私たちの身近にあるお茶も、ひと手間を加えることでぐっとおいしくなることを体感できるでしょう。
急須でのおいしいお茶の淹れ方は日々の生活に生かせる身体を想って丁寧に作られたお茶づくしのランチ
講座の後はランチタイム。お茶の旨みが身体に染みわたる茶粥にOtonami限定のデザートが付いた茶粥セットを味わいます。茶師に教わった喫茶文化を回想しながらリラックスした時間を過ごしましょう。
ランチのメニューを通じて、普段の献立にお茶の効能を取り入れる工夫も学べるその昔、堺の茶問屋では朝茶粥を食べるのが習慣だったそう。つぼ市製茶本舗でもその習慣にならい、当時の茶粥を再現した茶粥セットを提供(茶粥はおにぎりへの変更も可能)。ランチには、スーパーフードといわれるほど栄養価が高く、美容への効果も期待できる茶殻の佃煮も付いています。
お茶の香りと味わいを堪能できる茶粥ランチ特別な高級抹茶スイーツで優雅なひととき
食事の締めくくりに、高級抹茶をふんだんに使用したOtonami限定のデザートをいただきます。濃厚な抹茶のロールケーキやほうじ茶アイスに、日本茶のプロフェッショナルが点てたお抹茶がよく合います。まろやかな口当たりと、旨みが十分に引き出された味わいを堪能しましょう。
高級抹茶を贅沢に取り入れた特製デザートご希望の方はオプションにて、デザートを濃厚な抹茶を使用した季節のメニュー(時季によりパフェやかき氷など)に変更することもできます。堺本館限定のパフェは、看板商品である抹茶「堺の昔」を使用した抹茶ゼリーを加えた、つぼ市製茶本舗ならではのお茶を心ゆくまで楽しめる逸品です。夏季(7月〜)にはかき氷を用意。地元・堺の刃物で薄く削った氷はやさしい口当たり。抹茶を贅沢に使った濃厚な蜜との相性も抜群です。
パフェには「茶」の看板をモチーフにした最中が付く(メニューは時季により異なります)
繊細な舌触りの氷に濃厚な抹茶の蜜をたっぷりかけたかき氷(かき氷の提供は7月〜、メニューは時季により異なります)堺に根付く喫茶文化の奥深さを体感し、審美眼を養う
日本茶のプロフェッショナルの手ほどきを受け、お茶の魅力を余すところなく知ることができる本体験。お茶を習慣として取り入れると、心に余裕のある暮らしにもつながります。南蛮貿易の時代から港に良質な品物が集まり、喫茶文化をリードしてきた堺。茶人・千利休を輩出した土地ならではの“審美眼”に触れ、かしこまった作法にとらわれず喫茶文化に親しめます。
今日にまで伝わるお茶のありがたみを感じられる堺という場所で、熟練の茶師が目利きしたお茶が製品となり、お茶として提供されるまでの工程を間近で見られる本体験。これまで何気なく味わっていたお茶は、時代に合わせて革新しながら喫茶文化をつないできた製茶店の努力の賜物だと感じられるかもしれません。また、形式としてのお茶ではなく、お茶の本質にある豊かな文化を楽しむことで、一段とお茶の世界が広がるきっかけになるでしょう。
茶葉とスイーツのおみやげが付き、帰宅後もお茶の時間を楽しめる