「呼吸の料理」の提唱者・深澤大輝氏に学ぶ食養生と小豆味噌づくり −銀座「菊乃香酒造」の直営店で−

皇室の献上酒として選ばれた逸品を生み出す酒蔵「菊乃香酒造」

茨城県日立市に酒蔵を構えて100年以上となる歴史ある酒蔵「菊乃香酒造」。花崗岩から湧き出る岩清水で作られる日本酒は、濃醇な味わいと豊かな香りを持ち、創業以来多くの人に愛されてきました。本体験は、伝統の味わいを守り継ぎながらも幅広い世代に親しみやすいおいしさを追求する菊乃香酒造と、発酵食品の持つ力を最大限に引き出し、心身をととのえる術を伝える料理家・深澤大輝氏とのコラボレーションプラン。その会場となるのは、菊乃香酒造の直営店である「菊乃香ストア 銀座本店」です。

皇室の象徴でもある菊を踏襲した銘酒「菊乃香」は、二度にわたって皇室の献上酒として選ばれた逸品。独自の酵母を用いることで、フルーティで飲みやすく仕上げています。銀座本店の洗練された店内には「菊乃香」のほか中核銘柄のひとつ「常陸菊」や梅酒などフルラインナップが揃い、すべての試飲が可能です（ご希望の方は体験終了後に体験主催者までお声がけください）。

「呼吸」を味方に心と体を健やかにととのえる

本体験の講師を務める深澤氏は、食養生をベースに心身をととのえ、心地良く生きる方法を提案している料理家です。ヨーロッパの言語を中心に十数カ国語を学んでいた大学時代、言語と文化の関係から食文化へと興味を広げ、世界の伝統料理のエッセンスを探究することに。モナコでの料理修業を経て、ビーガンレストラン「湯島食堂」にてレシピ開発を行うほか、パティシエ兼シェフとして活躍しました。

自身の体調不良を契機に、子どもの頃から親しんできた気功と、気功をきっかけに出会った食養生への知識を深め、“身体を治す料理人”を志したという深澤氏。「呼吸の料理」のメソッドを確立し、2011年に食と心の研究所「YGGLAB.（ユグラボ）」を設立しました。「呼吸の料理」とは、陰陽の考え方を取り入れ、私たちに備わる“呼吸”というセンサーを働かせる調理法です。

本体験は、深澤氏による「呼吸の料理」の解説や食養生について座学の後、味噌を小豆で仕込む小豆味噌づくりを体験し、味噌と菊乃香酒造の酒粕を使った軽食づくりを深澤氏のオリジナルレシピで楽しみます。日本の伝統が息づく発酵食品である味噌と日本酒は相性抜群。「発酵」というキーワードでつながった両者の世界観を堪能しましょう。

陰陽に基づいた「呼吸の料理」のメソッドを学ぶ

まずは深澤氏による講座からスタート。「呼吸の料理とは、呼吸を用いて食材をパーソナライズすること」と深澤氏。人間の脳には、扁桃体という本能的に好き嫌いを判断する部分が備わっており、扁桃体からのサインは呼吸と連動しているのだそう。食材に触れたとき、深い呼吸ができたらそれは今自らが欲しているもの、浅くなったら求めていないものと捉えます。論理的に考えて正解を導くのではなく、快適であるかどうかに重点を置き、呼吸をもとに食材を選ぶことで、体や心が喜ぶ食事に行き着きます。

陰陽から考える食養生についても丁寧な解説があります。私たちが普段口にしている食事は、レシピに忠実につくられていたり、体に良い食材を摂取しようとするあまりに、食事自体を考えすぎていたりする場合があります。しかし「調味料を最低限にして、身体が欲しているものを素直に受け取れるようになれば、凝った料理でなくても満足度の高い食事になります」と深澤氏。「呼吸の料理」の考え方の基本は、シンプルに食と向き合うことなのだとわかります。

実りのある座学の後は、いよいよ小豆味噌づくりへ。一般的な味噌は大豆からつくられますが、小豆を使うことで油分が少なくさっぱりとして、ほのかな甘さを感じられる仕上がりになるのだそうです。私たちにとって親しみ深い味噌づくりのなかで、通常は見た目で判断する味噌の発酵状態を呼吸で見分ける方法を教わります。

ゆでた小豆と米麹、塩を合わせて揉むように混ぜれば、仕込みは完了。体験後、自宅に持ち帰って発酵を待ちます。「発酵具合も呼吸を感じて食べ頃を見出します」と深澤氏。発酵している味噌を持つと息が気持ちよく吸えるようになり、反対に、発酵が進んでいないものはうまく呼吸できないというのが驚きです。小豆味噌は発酵時間が短ければ淡白な味わいに、長ければより深みのある味に。呼吸を使って発酵の具合を吟味し、自分の身体の状態に合わせて口にできるのが醍醐味です。

身体の声に耳を傾ける、小豆味噌と酒粕のアレンジレシピ

お手製の小豆味噌の仕込みが終わったら、深澤氏が本体験のために考案した軽食をつくり、いただきましょう。小豆味噌と酒粕を使ったオリジナルレシピで、酒粕は通常販売していない菊乃香酒造の特別なもの（味噌は深澤氏が事前に仕込んだものを使用します）。メニューは野菜をメインに、季節やその時に手に入る食材によって変わります。

その日に扱う食材の声を聞き、どう調理されたいかを確認したうえで調理法を決定するという深澤氏。切り方やかき混ぜ方ひとつをとっても、食材の個性や陰陽の概念を意識することで滋味深い味わいに仕上がるのだとか。深澤氏から直接メニューの解説を聞くと、毎日の何気ない調理の時間が愛おしく、尊い瞬間に変わりそうです。食事中は深澤氏に質問できるチャンス。自分の身体の声に耳を傾けるコツや、家族の健康を考える調理法、小豆味噌の活用方法など、自由に尋ねてみてください。

呼吸を通して身体と向き合い、豊かに過ごすきっかけに

深澤氏の手ほどきを受けながら、小豆味噌づくりと料理を通して「呼吸の料理」を実践的に学ぶ本体験。ぜひ自宅でも呼吸法を実践し、自分や家族の体調に合わせた小豆味噌で身体が喜ぶ料理を作ってみてください。

深澤氏から得た知識は、食材を選び、調理する際にも生かされることでしょう。本体験をきっかけに、身体への寄り添い方や食材との向き合い方を見直してみてはいかがでしょうか。