Otonami Story

2025.3.21

自然と調和し、本来の自分を取り戻す。お茶と薬膳が織りなす「天人合一」の茶養生。

Interviewee

茶禅草堂 茶人 浄心(岩咲ナオコ)さん

茶人として、中医薬膳師として長年活躍している浄心(岩咲ナオコ)さん。瀬戸内海を望む山口県周防大島を拠点に活動し、教室&サロン「茶禅草堂」からお茶と薬膳の魅力を伝えています。

浄心さんが手がける茶席空間は「人」「空間」「自然」との調和がテーマ。その根底には、自身が心身のバランスを崩したことをきっかけに学んだ中医学の思想が流れます。お茶と薬膳のおいしさや知識だけではなく、現代人が失いつつある自然とのつながりを実践するひとときとして、体験する人を深く癒し包み込みます。

「私自身、人生が大変だった時にお茶と薬膳に助けられました。特にお茶は、心を癒す不思議な力をもった“妙薬”のよう」と語る浄心さん。養生の側面をもつお茶と薬膳の奥深い魅力、そして人間のあるべき姿とは……。自然と呼応しながら生きる浄心さんの“Story”から紐解きます。

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お茶と薬膳を通じて暮らしに豊かさを届ける茶人

台湾茶・中国茶や薬膳茶をテーマとした教室&サロン「茶禅草堂」。風光明媚な瀬戸内海を拠点に、東京・京都・山口の3拠点で学び舎の門戸を開いています。主宰するのは、茶人・浄心(岩咲ナオコ)さん。これまで台湾や中国を旅して見てきた豊かなお茶の世界を、薬膳や中医学の知識を融合した独自の世界観で伝えています。

茶禅草堂の京都教室の玄関には、浄心さんが描いた水墨画や書の作品が飾られる

浄心さんは中国でも取得するのが難しいとされる中国国家資格、高級茶藝技師を日本人としてはじめて取得しました。さらに国際中医師・薬膳師の資格も活かしながら、その道のプロフェッショナルとしてメディアやCMなど幅広く活躍しています。

大学在学中に出会った、台湾の豊かな茶文化

高校生から大学生にかけて茶道を習っていたという浄心さん。この頃はお茶への興味はほどほどで、どちらかといえばお茶菓子が楽しみで続けていたといいます。茶道の由来である中国の茶文化には関心があったものの、それを深く知る機会はなかなか訪れませんでした。しかし20歳の頃、あるテレビ局からリポーターとして台湾の茶産地を取材する仕事依頼を受け、茶文化の原点を知るきっかけを手に入れます。

「台湾の茶農家はどの人も親切だった」と、人生を変えた当時の出会いを懐かしく振り返る

台湾へと渡った浄心さん。リポーターの仕事を通じてお茶づくりを体験し、茶農家たちと密に交流するうちに、お茶がそばにあり、笑顔の絶えない心豊かな暮らしに次第に魅了されます。「まじめに一生懸命に、そして楽しそうにお茶づくりに勤しむ現地の方々と出会い、彼らが育てる茶葉のおいしさに感動したんです。当時の日本には台湾茶や中国茶がまだ広く認知されていなく、ここにはとても豊かな世界があると気がつきました」。

かつて見た茶農家の姿に思いを馳せながら淹れるお茶

台湾茶の魅力に強く惹かれて帰国。「たとえ社会人生活を棒に振ることになったとしても、お茶のことを深く知りたい」と、大学卒業と同時に再び台湾へ。台湾茶の世界に没頭し、心が赴くままに知識を深めました。

1杯のお茶が“自分らしさ”を思い出させてくれた

「お茶の勉強は、あくまでも個人的なもの。将来につなげたいという考えは当時はありませんでした」。そう振り返る浄心さんは、約1年間の台湾生活を終えて帰国し、テレビ業界へと就職します。学生時代のリポーター経験が役立ち、大きなやりがいを感じる理想の仕事。しかし一方で、体力勝負の日々に忙殺されて自分らしさを見失い、後ろ向きな考えが巡ることもあったそう。そんな時、ふと口にした1杯のお茶に癒され、大切なことを思い出したといいます。

浄心さんの一日は、1杯のお茶を飲み、心の状態を確認することから始まる

「一体私はどんな生き方を望んでいるのだろうか。お茶が自分自身を顧みる機会をくれました。お茶は “心の薬” であり、苦しい局面に立たされた時に自分らしさを思い出させてくれるものだと感じたんです」。お茶のもつ穏やかながら力強いパワーが体中に巡るのを感じた浄心さんは、「もう一度、自分のための人生を生きてみよう」と決意したのです。

不思議な力をもつお茶を「妙薬」と例えることも

浄心さんは、お茶の世界へと舞い戻ります。そして修行期間の末、2007年に台湾茶・中国茶教室「茶禅草堂」を東京で開講。奥深いお茶の世界を多くの人に伝え、少しでも茶文化の発展に貢献したいと、茶人としての人生を歩み出しました。

壊れかけた心身を救った薬膳との出会い

浄心さんの茶席は、ただおいしいお茶をいただくだけではありません。国際中医師・薬膳師としての知識を活かしながら、薬膳や中医学の思想を取り入れた“養生”としての魅力も備えています。薬膳や中医学との出会いは、自身の体調変化がきっかけでした。「ありがたいことに、茶人として多忙な日々が続きました。活動し始めて8年ほど経った頃、心身共に疲れ果て、思うように動けなくなってしまったんです。そこで救いを求めたのが薬膳でした」。

薬膳と中医学の基礎を培う勉強は約8年に及んだという

薬膳を学び、暮らしに取り入れたところ、症状の改善を実感した浄心さん。同時に、心と体の状態と向き合う大切さを身をもって感じたのだそう。それは現在の浄心さんの茶席においても重要なメッセージになっています。また、薬膳からさらに中医学を学んだことで、お茶が薬としての側面を持っていることにも注目します。

「中医学では、食べ物は薬と同様、健康に影響を与えるものであるという “医食同源” の考え方があります。お茶は歴史を遡れば薬として扱われていました。自然治療に近い感覚で、お茶には心身を整える力があると考えています」。

実体験をもとに、お茶と薬膳の多面的な魅力を伝える

浄心さんの茶席のテーマは「人」「空間」「自然」の調和。その根底には、私たち人間は本来自然の一部であるという中国古来の思想「天人合一」があります。その思想を体現した茶人になるべく、浄心さんは2021年に東京から瀬戸内海を望む山口県周防大島へと移住しました。

いつかこの地に薬膳畑をつくり、訪れた人たちと素材を採取して薬膳をつくるのが夢という浄心さんは、島に暮らす人や生産農家と協力しながら、茶や洛神花(ローゼル)、棗(なつめ)といった植物を育てています。豊かな大地と太陽の恵みを受けた新鮮な素材は、Otonamiのプランで提供される薬膳茶にも使用されています。

周防大島の茶室から望むのは瀬戸内海の多島美

「自然の中に幸せを感じ、生かされ、同時に厳しさを教えてもらう本来の人間の暮らしに近づいているような気がします。この感覚を、お茶を通じてゲストの皆さんと共有したいです。お茶は自然の恵みそのもの。都会でも自然とのつながりを体感していただけると思います」。

お茶や薬膳を味わい、自分をやさしく包んでいたわるひととき

人生の岐路に立つ人、心に悩みを抱えている人が多く訪れるという浄心さんの茶席。その最中に涙を流す人も少なくありません。「ずっと詰まっていたもの、我慢していたこと、張り詰めていた心を、お茶がゆるませてくれるのだと思います。ご縁があって私のもとに来てくださった方の心を癒し、自分のために立ち止まるきっかけにしてもらえたら嬉しいです」。

「心がすっきりした」「心地良い時間だった」と、ゲストの喜ぶ声が届いている

そんな浄心さんと共に過ごすOtonamiのプランは、京都の静謐な空間で愉しむ「お茶と薬膳によるリトリート茶養生」。台湾茶・中国茶の楽しみ方に加え、自分の身体と向き合う呼吸法や瞑想、季節の薬膳茶づくりや東洋医学思想を浄心さんが手ほどきし、心身のバランスが整う感覚を体感できます。

Otonamiのプランでは茶粥または薬膳スイーツも味わえる

オリジナルのお香や薬膳スイーツの新メニューなど、浄心さんにとってOtonamiのプランは新たなアイデアを第一線でお披露目する場になっているといいます。まだ誰も体験していない浄心さんの構想の最前線を堪能できる贅沢な時間です。「体に良いもの」である以上に、同じ自然の一部として「寄り添うべき存在」であるお茶と薬膳。人間の本能的幸福度を高める瑞々しい時間を、浄心さんはこれからも提供し続けます。

ゲストの心身の状態に寄り添い、1杯のお茶に心を込めて

茶禅草堂

瀬戸内海を望む周防大島を拠点に活動する茶人・浄心(岩咲ナオコ)氏が主宰する、台湾茶・中国茶および薬膳教室。2021年からは認定教室を東京に置き、オンラインレッスンや東京・京都での教室を開催している。また、台湾や中国から招聘を受け、国際舞台で茶文化交流活動を行ってきた。浄心氏が手がける茶席空間は「人」「空間」「自然」との調和をテーマとし、高い評価を得ている。

MAP

京都府京都市上京区椹木町堀川西入講堂町224-4

Special plan