Otonami Story

2022.11.25

花本来の自然な美しさに着目。日本独自のフローラルアートを世界へ。

Interviewee

フラワーアーティスト 丹羽英之さん

江戸文化が根付く下町・両国。その一角に、アートギャラリーのような洗練された空間が現れます。そこに飾られているのは、旬の花がいきいきとした表情を見せるフローラルアート。国内外で数々の賞を受賞するフラワーアーティスト・丹羽英之さんのデザインオフィスです。

丹羽さんは、フラワーアレンジメントの独自のスタイルを生み出した日本の先駆者。「花を色やデザインとして扱うのではなく、生き物として愛でることを大切にしています」。日本人ならではの“花を愛でる”感性を生かし、日本から世界へ自身のフローラルアートを発信し続けています。

丹羽さんは数々の称賛を手にしながらも、さらなる自身の高みを目指します。日本の花文化を世界へ向けて開花させるフラワーアーティストの”story”には、花に対する熱い想いが垣間見えました。

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フラワーアレンジメントの華やかな世界で研鑽を積む

愛知県にある生花店で生まれ育った丹羽さんは、家の手伝いができればという自然な流れからフラワーアレンジメントの専門学校へ進学。「実家の生花店では冠婚葬祭用の花をメインに扱っていたので、パーティーやイベントの華やかなアレンジメントを知り圧倒されました」。フラワーアレンジメントの魅力に一気に引き込まれ、卒業後は東京の大手生花店へ就職。店長やブランドショップの立ち上げを担い順調にキャリアを積むなかで、もっと自身のアート作品を世に発信したいという想いが芽生えたそうです。

花の美しさが引き出された丹羽さんのアレンジメント

発表の場として選んだのは、国内外のコンテスト。そして、世界的なフローラルアートの最優秀賞であるベルギー「International Floral Art」ゴールドリーフ賞(2012年)や、「ジャパンカップ」内閣総理大臣賞(2013年)など名だたる賞を次々と受賞。その名を馳せるとともに、世界中に足を運び、フローラルアートの見識を深めていきます。

丹羽氏の作品「鼓動 / Beating」(C)Kiyokazu Nakajima

花を生き物として愛でる、日本人らしいフラワーアレンジメント

花の世界でキャリアを積むなか、花をもっと深く学びたいと感じた丹羽さんは、専門学校時代の講師のもとを訪ねました。そこで花に対する考え方が大きく変化したのだそう。「それまでは見た目を意識したファッション感覚のアレンジメントを作っていましたが、花を生き物として扱うことの大切さに気づかされました。花を愛でるという日本人らしい感覚を生かし、花本来の美しさを引き立てるフローラルアートを作りたいと思うようになったのです」。

季節感はもちろん、質感や色味も加味した花合わせ

フラワーアレンジメントは“アメリカンスタイル”と“ヨーロピアンスタイル”の2つが主流でしたが、丹羽さんは独自の理論を提唱。国内外へ日本オリジナルのフラワーアレンジメントを発信するため、「Hideyuki Niwa Design Office」を立ち上げたのです。

花や植物の持つ魅力を多くの人へ伝えたい

生き物としての花の美しさを追求するため、丹羽さんは花の生産農家や市場などにも積極的に足を運んでいます。「市場のトレンドを知ったり、植物の品種改良に携わったりすることを通して、花の魅力への深い理解につながっています」。

花の美しさをもっと多くの人に伝えたいとの想いから生まれたのが、Otonami限定のフラワーアレンジメント制作体験。丹羽さんが直接市場からセレクトした旬の花材を使い、初心者でも素敵なアレンジメントを完成させることができます。

丹羽さんのわかりやすい解説とともにデモンストレーションが行われる

デモンストレーション中に披露される豊富な知識は、花の世界を知り尽くした丹羽さんならでは。メモを取りながら、お花の生態やアレンジメントの基礎知識など様々に学ぶことができます。花の表情をじっくり観察したり、季節を感じながら感性を磨いたりと、心豊かな時間になるはずです。

季節によって異なる花材でフラワーアレンジメントを制作

日本人らしいフローラルアートを両国から世界へ

伝統的でもあり、前衛的でもあるフローラルアートを世界へ発信するために、丹羽さんが選んだ地は東京・両国。「日本の江戸文化を世界へと発信し続ける両国の気風と、私の想いがシンクロしました。それに、都会の喧騒から少し離れたこの場所は、心落ち着けて作品づくりに取り組む場所としてぴったりです」。

デザインオフィスは丹羽さんのフローラルアートが浮かび上がるように計算されたスタイリッシュな空間。花本来の美しさを大切にする丹羽さんの考えに呼応しているかのようです。

東京・両国にある「Hideyuki Niwa Design Office」

現在は、自身のアート作品集の出版や海外でのエキシビションなどに向けて、精力的に活動中。フローラルアートのさらなる高みを目指し、花の美しさを追求し続ける丹羽さん。その熱い想いが、日本の花文化をどのように世界へ広めていくのか、今後も目が離せません。

Hideyuki Niwa Design Office

世界的なコンテストで数々の受賞歴を持つフラワーアーティスト・丹羽英之氏が主宰するデザインオフィス。「想像し創造する」をコンセプトに掲げ、植物の解体と再構築を繰り返すなかで生まれる新たな美を追究。国内外での作品展示やワークショップの開催、作品集出版など、活動の幅を広げている。

MAP

東京都墨田区石原1-3-2

Special plan