Otonami Story

2021.11.16

お茶会は鮮度が命のライブ。安寧をもたらす、一期一会のおもてなし。

Interviewee

目黒とうりあん 裏千家教授 舩越宗英さん・河田宗愛さん

京都外国語大学卒業後、会社勤務を経て裏千家家元内弟子となり、在庵中は海外でのティーセレモニーに随行する機会に恵まれた舩越宗英さん。対して幼少期から長きにわたり海外生活を送ってきた河田宗愛さんは「自分が日本文化について何も知らないことを恥ずかしいって思ったんです」と、帰国子女だからこそ日本人としてのアイデンティティに早くから気づいたと話します。

そんなお二人が京都の裏千家学園で出逢いスタートした『目黒とうりあん』。海外ゲストへの茶道体験も提供する教室ですが、その根底にあるものは、一碗のお茶がもたらすほっとする安堵感です。

「日本のファンを増やすことで世の中が平和になったら、こんなに嬉しいことはない」と願うお二人がOtonami限定で開催するお茶会は、家庭的なおもてなしで提供する原点回帰の小さなスタイル。お茶事のエッセンスをギュッと凝縮させた、オリジナルの体験に秘められた “story”を伺いました。

SHARE

一代で築き上げた、若き茶人夫婦が願うもの。

目黒のとある閑静な住宅街。二畳台目の茶室を備えた自宅兼教室は、凛とした佇まいながらも、友人の家を訪れたようなぬくもりがあります。季節ごとの茶碗をはじめ多種多様な道具が必要なことから、世襲制で引き継がれることが多い茶の湯の世界。しかしながら“歴史オタク”を自称する舩越さんは、裏千家の家元に憧れこの世界へ。対して海外暮らしの長さから、日本人としてのアイデンティティを確立すべくお茶の世界に飛び込んだ河田さんも、外資系企業からこの道に入ったという一風変わった経歴を持っています。

一から揃えた道具には、お二人のこだわりが息づいている
一から揃えた道具には、お二人のこだわりが息づいている

「海外の方がすごく楽しそうにお茶を嗜む姿を見て、この文化を日本に留めておくだけじゃもったいないと思って。お茶のファンを増やすことで、世の中が平和になったらこんなに嬉しいことはない」と、言葉も人種も何もかもを飛び越えてしまうお茶を通じて平和に貢献したいと願う河田さん。一方舩越さんは「日本人は海外に対する憧れが強いからこそ、日本人というアイデンティティを持って海外で活動をする家元に憧れたんですよね」と、道程は違えど共通項は“海外”というキーワード。根底に流れる想いが似通ったお二人が出逢ったことで、目黒にとうりあんが誕生したのです。

陶淵明の漢詩に出てくる『採菊東籬下』からつけられた庵号
陶淵明の漢詩に出てくる『採菊東籬下』からつけられた庵号

一番楽しめること。それこそが自分のルーツ。

当初は河田さんがお一人で一から茶道教室をスタート。地域センターの一室を借りて少しずつ道具を揃え、結婚後まもなく“市中の山居”となる茶室を現在の地に開設。36歳という年齢で、本格的に教室を始動させたのです。結婚を機に上京した舩越さんは、勤め人として働きながら河田さんのサポートに回り茶道を続けていました。

「毎日でもお茶をしたい」と語る、根っからの茶人の河田さん
「毎日でもお茶をしたい」と語る河田さんは、根っからの茶人

舩越さんに転機が訪れたのは、3人目のお子さんが誕生したころ。お弟子さんも増えたことで「どうにも一人では手が回らない……」と、最終的にはお二人でお茶の道を歩んでいくことを決断したのです。

「そこからお互いの夢叶ったりで、アメリカの大手民泊の茶道体験のホストとして、800人ぐらいの海外の方をここにお迎えしてね」と、裏千家学園時代からお二人が考えていた“日本のいいものを世界中でシェアする”ことが実現。海外での生活や経験を持つからこそ、外から見た自国の良さや日本人としてのルーツを確信しているのでしょう。

語学堪能なお二人だからこそ、英語でのお茶席も開催
語学堪能なお二人だからこそ、英語でのお茶席も開催

お茶の背景にあるものを、全身で感じてほしい。

「茶道といえば、お薄を飲む光景をイメージされる方が多いかもしれませんが、お料理にお酒にと4時間かけて行う“お茶事”こそが、本来のおもてなしです。そのためお料理を伴わない茶道体験では、本来の魅力が伝わりません」と舩越さん。とはいえ4時間の本格的なお茶会に参加するには、マナーも経験も必要。そこでお二人で工夫したものが、初心者の方でも茶道の全体像を体験できる、Otonamiオリジナルのお茶事です。なかでも悩みどころだったのは、お茶事を知らない方に全体像を知っていただきつつも、知っている方にも楽しんでいただける。そんなオリジナルお茶事の構成だそうです。

お茶事のクライマックスとなる濃茶。点てる亭主側も緊張するという
お茶事のクライマックスとなる濃茶。点てる亭主側も緊張するという

「私たちはお茶におけるお料理の大切さも知っていただきたいんです。“馳走”という言葉の語源は、お客様をもてなすために馬を走らせ、材料を集めて料理を振る舞ったこと。だからこそ、おもてなしにおいて手料理に勝るものはないといわれているんです」と、お二人が本体験でゲストに振る舞うものは、まるで長年の友人を家に招いたときのような温かみあふれるおもてなし。京都の有名料亭出身の先生にお料理を習うなど、懐石料理の味を知り尽くしたお二人ですが、どんなご馳走よりも家庭の味が勝ると考えています。

近年では珍しい、手作りでの懐石。季節を五感で堪能したい
近年では珍しい、手作りでの懐石。季節を五感で堪能したい

先祖代々大切にしてきた日本人の魂を次世代に。

数ある日本文化のなかで、歴史好きの舩越さんと帰国子女の河田さんが生きる道として選んだ茶道は、和を凝縮したもののひとつ。「皆さん日本の良さをあまりにも知らないで日常を過ごしている」。その言葉にハッとさせられるよう、お茶を日常的に嗜む日本人は非常に少ないのではないでしょうか。「精力的に広めたいと思っていても個人で知り合うには限界……というところに、Otonamiからお声がけいただいて。お茶を体験してみたいけれども、どこでやっていいか分からないという方たちに、おもてなしをお伝えしたいですね」。

お作法を丁寧に教えていただけるところも本体験の魅力
お作法を丁寧に教えていただけるところも本体験の魅力

訪れる方を思い浮かべ、一つひとつ用意される掛け軸にお花。季節のお菓子の舌触りにお茶のぬくもりと、雰囲気や空間を全身で感じる一期一会のお茶会は、ライブでしか楽しむことができません。

お二人が本体験で目指すものは「また来ます、また会いに来ます」と思える第二の家庭のような場所。裏千家・第十五代家元である千玄室さんがスローガンとした「一碗からピースフルネスを」。この言葉の真髄を詰め込んだ“小さなお茶会”にて、お二人がお届けする最高のおもてなしを体感してみてください。

「お茶を飲むことはお茶事の一部」と語る意味を、ライブで体験してみては
「お茶を飲むことはお茶事の一部」と語る意味を、ライブで体験してみては

目黒とうりあん

目黒区の住宅街に佇む裏千家茶道教室。茶道の中に連綿と受け継がれてきた「おもいやりの心」「知恵」「洗練された所作」を学ぶことができる。バイリンガルでもある教授夫妻は、海外からのゲストに茶道を紹介するなどグローバルにも活躍。子ども向けのクラスにも定評があり、門戸を広く開いている。

MAP

東急東横線 都立大学駅

Special plan