「フォーチュンガーデン京都」“関西建築界の父”による名建築・島津製作所旧本社館内ツアーとランチ

島津製作所旧本社を改修して生まれたレストラン＆ウエディング会場

京都・河原町の島津製作所の旧本社ビルをリノベーションし、レストラン、ウエディング、パーティーのための空間として2012年にオープンしたフォーチュンガーデン京都。近代建築の巨匠・武田五一の設計により、1927（昭和2）年に建てられて約1世紀の歴史を持つ建物は、アーチ型の窓やロマネスク風の柱頭など建築当初のレトロな面影をそのままとどめています。

フォーチュンガーデン京都の1階は、竹林の庭を望みながら食事を楽しめるフレンチ・ビストロのレストラン。そして1階から4階までそれぞれ趣の異なるウエディング・パーティー会場となっています。

京都では通称「島津さん」と呼ばれている島津製作所。敬意と親しみが込められた愛称から、地域の人々からの愛着が伝わってきます。一度は取り壊しの話がありながら、京都の街の人々の署名活動によって守られた島津製作所旧本社。「街のシンボルとして継承し、昭和の趣を生かした空間をこれからも市民に愛される場所にしたい」という想いを大切に、歴史的価値を保ちながら改修されました。

京都の発展と共に歩んできた街のシンボル

1875（明治8）年に初代・島津源蔵が京都で創業した島津製作所。1877（明治10）年に民間で日本初となる気球飛揚を実現して以来、分析機器や医療機器、産業機器、航空機器などを製造・販売する精密計測機器のメーカーとして、科学技術で社会に貢献し日本産業の基盤を築いてきました。京都の繁華街・河原町に立つ旧本社ビルは、“関西近代建築の父”と呼ばれた武田五一が、イギリス留学時にヨーロッパ各地を巡って影響を受けた近代西洋建築の意匠を取り入れて設計しました。

昭和初期の竣工当時は、日本においても先駆的な建築物で、街のシンボルとして京都の発展と共に歩み続けてきました。長い年月の中で失われてしまった当初のデザインを復元しつつレストラン・ウエディング会場として再生した旧本社ビルの館内を、スタッフの解説付きで巡るOtonami限定ツアー。オリジナルの資料で島津製作所の歴史や歩みについて学びながら、国会議事堂なども手がけた武田五一の建築のこだわりや設計の意図を知ることができます。

島津製作所の歴史と近代建築家・武田五一のこだわりに触れる

1階レストランの玄関に一歩足を踏み入れると、幾何学的な模様で装飾された円柱やモザイクタイルの床など、瞬く間に違う時代にトリップしたかのような空間です。ガラスブロックがはめ込まれた床、地下室の照明から光が入るデザインは、京都の街でも話題になりました。この玄関かクローク前のホールで、スタッフによる説明を受け、館内ツアーがスタートします。

企業家でありながら発明家でもあり、“日本のエジソン”と呼ばれた島津製作所の2代目・島津源蔵が生涯に生み出した発明考案件数は、178件に及びます。日本初の蓄電池や医療用X線装置の開発など数々の功績で知られ、島津製作所の基盤を築きました。4階の「ザ メトロポールルーム」には、数々の発明品のレプリカが展示されています。元は社長室や役員室があったエリアで、白を基調としたアールヌーボーのヨーロピアンな美しさを感じられます。

外観でひときわ目立つアーチ窓があるのは、3階の「ザ コンチネンタルルーム」。壁や柱、天井にもアールデコ調の装飾が施された優雅な部屋は、かつて記者会見や入社式が行われた講堂でした。曲線を描いた梁や階段の手すりなどにも、当時の面影が残っています。帝国ホテルの設計者、フランク・ロイド・ライトのデザインをモチーフに、直線と幾何学を組み合わせた装飾の2階「ザ オリエンタルルーム」、かつて展望台だった塔屋がある5階「ルーフトップ ガーデン」など多くの見どころをじっくり見学することができます。

※季節や状況によって見学できない場所がある場合がございます。

旬の食材の旨みを引き出したカジュアルフレンチを堪能するランチコース

ツアーのあとはレストランへ移動し、緑が鮮やかな竹林の庭を眺めながら明るい光に満ちた空間で、ランチコースを堪能します。おひとりでのご参加や少人数の場合はカウンター席でゆっくり食事ができます。

食事の最初に、ウェルカムドリンクとしてオリジナルのノンアルコールドリンクを提供します。京都産の茶葉を使った煎茶スパークリングやほうじ茶スパークリングなど、本プランのために用意された特別な一杯を楽しみましょう。

フレンチ・ビストロで提供されるのは、シェフ自ら産地に足を運んで味を確かめながら仕入れている食材、京都の農家と直接契約して厳選された野菜などを使った料理。特に素材の旨みをダイレクトに味わえるよう、店内のオープンキッチンにて炭火で焼き上げるメインディッシュが自慢です。

食事の終わりには、ゆっくりと体験の余韻に浸るのもおすすめ。コーヒーや紅茶と一緒にデザートをいただきながら、落ち着いた時間を過ごせます。

昭和の名建築に刻まれた歴史の面影を感じて

京都で愛されてきた名建築で過ごすひとときは、まるで昭和初期の時代に迷い込んだような特別な時間です。過ぎ去った昭和や平成の時代に思いを馳せながら、美しい洋館に残る長い歴史の面影をお楽しみください。