横浜「真砂茶寮」2つ星料理屋の懐石料理を味わい日本文化を学ぶ −練り切り作り＆盆略点前体験付き−

格式は高く、中へ入れば親しみやすく

関内駅前の喧噪をくぐり抜けた細道に現れる、数寄屋造りの2階建て一軒家。「料理屋 真砂茶寮」は、この場所でのれんを掲げて20年以上の懐石料理店です。店内へ足を踏み入れると、たちのぼる杉の香りと大将・入江延彦氏の笑顔が迎えてくれます。

真砂茶寮では、神社での修業経験をもつ入江氏による本格的な懐石料理を味わえます。テーブルに並ぶのは“ハレの日”にふさわしい、季節の素材をふんだんに取り入れた品々。「店構えの格式の高さは保ちつつ、中へ入れば拍子抜けするほど気さくでいたい」と入江氏が願うとおり、店内には訪れる人の笑い声があふれます。

非日常の空間でとことん日本に浸る

本体験では、一流の懐石料理を味わった後、和菓子作りと盆略点前の体験にて練り切りと抹茶を嗜みます。なじみがないことの連続で尻込みしてしまうかもしれませんが、入江氏から教わるのはあくまでも日本文化の入門編。それぞれに礼儀作法はあるものの、「わからないから、分不相応だから、と引き返してほしくない」と話します。

さりげなく飾られた掛け軸や生け花に訪れる人への気遣いが宿っているのも、日本ならではの美徳。見方を知るだけでうんと親しみやすくなります。難しく考えることなく、軽やかに一歩を踏み出してみてください。

旬の旨みが詰まった逸品に舌鼓

プランのはじまりは、おなかと心を満たすところから。その季節にもっともおいしい素材で作る懐石料理は、前菜・お椀・お刺身・煮物・焼き物・ごはん・抹茶・和菓子の8品。一品ずつ入江氏による解説が付きます。お料理と器との相性、個室のしつらえにも注目しつつ、気になることはその場で質問してみましょう。

店名に「茶寮」と冠するのは、お酒を飲まない方にも気楽に食事を楽しんでほしいから。日本酒やワインのほか、ほうじ茶やジャスミン茶など国内外の上質な茶葉が揃っています。旬の懐石料理とお茶とのペアリングも楽しみ方のひとつです。

※別途ドリンクをオーダーする場合は現地での精算となります。

練り切りのなめらかな肌心地に身をゆだねて

お食事を楽しんだ後は和菓子作りを体験します。練り切りを扱う時はしっかりと手を湿らせ、くっつかないようにするのがポイント。白玉よりもやわらかく、ポロポロとしてまとめるのに工夫が必要です。手の中でよく揉み、形を作っていきます。

練り切りにあんこを包んだら、和菓子作りに欠かせない木製の三角棒を使って装飾に挑戦。斜めの角度から生地に向かって引き寄せ、手首を使って放射状に節目をつけます。中に包んだ練り切りの桃色がじんわり透けるように意識すると、日本らしい奥ゆかしさの美があらわれます。練り切りは2つ作り、1つはおみやげとしてお持ち帰りいただけます。

自ら手がけた和菓子と抹茶で心までほぐれる

続いて、丸盆の中に必要な道具を揃えて行う「盆略点前」にて抹茶を点てます。お点前の手順は正式なものですが、「作法ばかりを気にしていたら、良いお茶もおいしく感じられませんよね」と、入江氏はいたってほがらか。少しくらい間違えても気にせずに、楽しむ心が大切です。

入門編と謳いながらも、使用される食材や道具は一級品。出来上がった和菓子と抹茶の本物のおいしさを堪能しながら、入江氏から器についての手ほどきを受けます。趣深い器の魅力をカジュアルな視点から学ぶことで、日本料理の楽しみ方が広がっていきます。

大将との会話から開かれる日本文化の扉

築50年を超える数寄屋造りの静謐な店内で、日本文化を五感で味わい尽くす時間。上流のおもてなしに圧倒されることなく、お料理やしつらえ、作法の一つひとつを純粋に楽しめるのは、「難しく捉えず、しきたりを面白がってほしい」という入江氏の心配りがそこかしこに感じられるからでしょう。

なんとなく縁遠いものと感じていた日本文化が、体験後にはずっとそばにあったもののように親しみ深く思えるはずです。本体験によって芽生えた興味を、ここから大きく羽ばたかせてください。