ドリンク作家・emmy氏が手がけるアートのようなドリンクコース −12ヶ月の「お月見」を愉しむ−

一杯のドリンクに物語を宿すアーティストが贈る特別なプラン

今をときめくドリンク作家・emmyさん。一杯、あるいはコース形式のドリンクで奥深い物語を表現する、飲食の領域を超えたアーティストです。日本各地の素材を探求し、その持ち味や背景にあるストーリーをドリンクに落とし込むアートワークを中心に活動するemmyさんが着目するのは、文化・歴史・食材のテロワール（ルーツとなる土壌や気候の個性）にまつわるストーリーの数々。それに関連する野菜や果実、スパイスを使い、時には歴史の語り部となりながら、情景を浮かび上がらせる一杯をつくり上げます。

そんなemmyさんが表現の舞台に選んだのは、数々の文豪が暮らした背景を持ち、由緒ある神社・仏閣や歴史深い建造物の多い東京都文京区。自身のアートワークとの親和性を感じ、閑静な住宅街・本郷に佇む築約90年の古民家を手入れして「澱々」と名付け、アトリエ兼バーとしてオープンしました。「澱」とは液体中に沈む“沈殿物”のこと。液体が流れても器に残るそれは、人の心に残り続けるemmyさんのクリエイティブのようです。

極力照明を落とし、黒で統一された澱々の店内は、まるで日没後の世界のよう。感覚を研ぎ澄まし、ドリンクの味わいをより鮮明に感じられるようにと設計したのだそうです。

カウンター奥には、「ドリンクに込めた世界観をより艶やかに表現し、お客様に楽しんでもらえるように」との想いで、骨董商の方と協力して集めたという美しいグラスや器が光ります。本プランで登場する様々なグラスにも注目してください。

往古来今のお月見文化を楽しむドリンクコース

本プランでは、「お月見」にまつわるストーリーを込めた、ノンアルコールドリンク3杯（定番ドリンク1杯と月替わりドリンク2杯）とアルコールドリンク3杯（定番ドリンク1杯と月替わりドリンク2杯）の計6杯、さらに甘味として、emmyさん特製のあんみつをお月見仕様にアップデートして提供。お酒を飲まない方には、ドリンクの一部またはすべてをノンアルコールに変更することも可能です。

平安時代の頃に中国から始まり、日本に広まったというお月見の風習。古人と月との関係性を探れば、俳人・松尾芭蕉が月にまつわる句を多く書いていたことや、平安貴族が池の水面に映った月を眺めながらお酒を飲んでいたことなどを耳にします。本プランを秋だけではなく毎月開催する背景には、かつてのようにお月見を日々の豊かな楽しみにしてほしいという想いが込められています。

コースの最初にいただくのは、定番となるバラのノンアルコールカクテル。バラの花びらがゆらゆらと浮かんだ、目にも美しいドリンクです。

一見無関係のように思える、お月見とバラ。実は、同時期に日本に伝来したという共通点があります。また、秋に咲く「秋バラ」は、十五夜と同じタイミングに見頃を迎えます。平安貴族は水面に映る月を愛でていたということですが、そこには鮮やかなバラの花びらも浮かんでいたのかもしれません。emmyさんの丁寧な解説によって、一口ごとにドリンクが魅せる世界観に惹き込まれます。

月替わりのドリンクで体感する12ヶ月のお月見風景

月替わりのドリンクでは、その季節に旬を迎える素材を取り入れ、ひと月ごとに移ろう「お月見風景」を味わいます。例えば8月は、すももを煮詰めたコンポートの煮汁から作る香り豊かなノンアルコールカクテルが登場。夏に収穫期を迎えるすももは、食べ頃になると強く甘い香りを放ちます。芳醇な香りに包まれながら月を見上げる、夏らしいお月見風景を体感しましょう。

12ヶ月それぞれに移ろうドリンクの味わいは、毎月開催される本プランの醍醐味。また、emmyさんは旬の素材に合わせて日本特有の食材を取り入れて、味に深みを出すのだそう。例えば、お酢やお茶、出汁など。時には新感覚のマリアージュが飛び出すかもしれません。

emmyさんの愛が詰まった自家製あんみつもお月見仕様に

「澱々をオープンした時に一番やりたかったのは、実はこれなんです」と、emmyさんが差し出したのは、蒔絵のお盆に乗せられ、漆の器に入ったあんみつ。ドリンク作家でありながら、同時にあんみつを愛してやまないというemmyさん。普段提供している自家製あんみつを、Otonami限定の特別なお月見仕様でいただきます。

バラの蒸留水とミズキの花のはちみつでつくり上げた寒天に、ワイン煮のアンズとイチジク、コリアンダーをからめた白いんげん豆をトッピング。そして、お月見仕様として、オーツミルクでつくったジェラートが添えられます。夏はくるみやレーズン、秋は栗など、旬の素材をジェラートに盛り込み、その時々の季節を感じる味わいに仕立てます。

そのほか、お月見文化を愛する有志たちが共同開発した「お月見ビール」や、満月の日に収穫したブドウを使ったナチュラルワインなども登場。一杯一杯のお月見物語を、心ゆくまで堪能してください。

毎月訪れる「満月の日」を特別な時間に

私たちにとってなじみ深いお月見。しかし、その歴史的背景や楽しみ方については、実は知らないことが多いのではないでしょうか。「月にまつわるストーリーを込めたドリンクを通じてお月見を楽しみ、特別感のある時間を過ごしてほしい」と、emmyさんは本プランへの想いを語ります。風情あふれる澱々の空間にて、emmyさんのドリンクと華麗なるパフォーマンスでお月見の世界へといざなわれる贅沢な体験をお楽しみください。