京都「西洋茶屋 山本」和素材を用いたアシェットデセールとワインのペアリング −食材の解説付き−

デセールとワインをたしなむ大人の隠れ家

JR梅小路京都西駅から歩いてすぐのところにある「Dessert&Wine 西洋茶屋 山本」は、お皿に美しく盛り付けられたデザートをコース仕立てでいただく、完全予約制のアシェットデセール専門店。つたに覆われた外観は、知る人ぞ知る隠れ家のような雰囲気。期待に胸を膨らませて店内に入ると、バーを思わせるカウンターを設えたほの暗い空間が迎えてくれます。

オーナーはパティシエの山本智弘氏です。フランスの5つ星ホテル、神戸のチョコレートの名店「L’AVENUE」を経て、『ミシュランガイド』にて1つ星獲得経験のある京都のフレンチレストラン「MOTOI」でシェフパティシエを務めたのち、西洋茶屋 山本をオープン。料理とワインのペアリングが当たり前だったフランスで「パティシエも食をトータルでコーディネートするべき」と感じたことがきっかけで、修業時代にソムリエ資格を取得しました。

さらにフランスでは、フルーツやバターといった素材そのものの新鮮さに衝撃を受け、地産地消の大切さに気がついたという山本氏。だからこそ魅力的な食材が集まる京都で、鮮度にこだわるアシェットデセールを提供したいと思うようになったのだそうです。

日本中にアンテナを張り巡らせ、特徴ある和の素材からインスピレーションを得てメニューを考案するという山本氏。本体験でいただくコースには、京都産の食材にクローズアップしたOtonami限定メニューが盛り込まれています。さらに、山本氏セレクトによるワインとのペアリング付き。和素材×フランス菓子×ワインの新たな出会いを楽しみましょう。

食材へのこだわりに触れ、その生かし方を学ぶ

席につくと、最初に提供されるのがOtonami限定のウェルカムドリンクです。京都 大原の赤紫蘇でつくった自家製シロップを、京都三名水のひとつ・梨木神社の「染井の水」で割ったドリンクは、まろやかで優しく、身体の中が浄化されてゆくよう（内容は体験日により変わる可能性があります）。赤紫蘇の香りを楽しみつつ耳を傾ける食材に関する座学も、本プランだけの特別なプログラム。シェフの食材へのこだわりと、京都の食材の魅力を存分に体感できるでしょう。

座学では、その日に使用する特別食材の説明が書かれたメニュー表を見ながら、山本氏よりレクチャーを受けます。たとえば、京都で約370年続く「七味屋本舗」の七味唐辛子や、“醤油発祥の地”といわれる和歌山県湯浅町「丸新本家」の白醤油など、一般的にデザートにはあまり使わないような食材も多く、それぞれの産地や特性を生かした意外な使い方のアイデアに、食への探究心が刺激されます。

さらに、説明された食材一つひとつが少しずつプレートにのせられて登場。試食をして、素材そのものの味を確かめてみましょう。これらの食材が山本氏の手にかかると、どのような個性をまとい、芸術的な一品へと昇華するのか、その変化も楽しみです。

今、この瞬間のおいしさを味わう

コースは、塩味の小菓子、ショコラ、アヴァンデセール（最初に供されるデザート）、グランデセール（メインとなるデザート）、お茶菓子の5品で構成されます。なかでも注目は、本プランのために特別に用意された「薔薇のショコラ」。バラとホワイトチョコレートのガナッシュを、真紅の食用バラの花びらで包んだ、目にも鮮やかな一品です。使用されるバラは、京都 伏見で農薬を使用していないバラ栽培の食用バラを手がける「おくだばらえん」のもの。コニャックをベースにした香り高い甘口の酒精強化ワインとのペアリングが、高貴な世界へといざないます。（内容は体験日により変わる可能性があります）

アシェットデセールの魅力について、山本氏は「料理のように、その場でもっともおいしい状態で食べていただけること」と語ります。時間が経つと溶けてやわらかくなってしまうガナッシュを、ベストな状態で味わえるのもアシェットデセールだからこそ。ほかにも、瞬間燻製にする煙の演出、温度へのこだわりなど、テイクアウトでは再現できないおいしさのテクニックが随所に散りばめられています。

1皿目の塩味の小菓子とお茶菓子も、Otonamiプランだけの特別メニュー。何が登場するかは参加してのお楽しみです。また、季節のフルーツを使用するアヴァンデセールとグランデセールは、メニューが毎月変わります。フルーツとの相性を意識したワインとのペアリングはもちろん、伝統工芸の技が際立つ器とのコラボレーションにも注目です。

コースの完成度を高めるワインとのペアリング

甘味だけでなく、塩味・酸味・苦味で緩急をつけてコースを組み立てるのも、山本氏独自のアプローチ法。そこにペアリングするワインにも、ソムリエ資格を持つパティシエならではの味覚のセンスが光ります。たとえば、キャラメリゼした桃と黒ビールアイスの苦味に、少し癖のあるスパイシーなロゼワインを合わせるという発想は、ユニークかつ見事。一皿ごとに新鮮な驚きがあるデセールと、個性豊かなワインとの組み合わせが、最初から最後まで飽きることなく舌と心を満たしてくれるでしょう。

アルコールが苦手な方は、ティーポット（約2杯分）で提供される紅茶と共にデザートコースを楽しみましょう（予約時に申告が必要です）。紅茶は厳選された6〜7種類の中から選ぶことができます。加えて、「実山椒のケークショコラ」をおみやげとしてプレゼント。5日ほど日持ちするので、家に帰ってからも素敵なデザートタイムを過ごせます。

京都を代表するデセールレストランでかつてない体験を

コースの締めくくりには、Otonamiプラン限定でフレーバーティーが提供されます。山本氏がフランス修行時代に出合い、そのおいしさに惚れ込んだという老舗紅茶ブランド「マリアージュ・フレール」の4種のフレーバーから、お好みの1杯を。カウンター越しに山本氏との会話を楽しみながら、アシェットデセールとワインの余韻にひたるひとときです。

日本ではまだ決して多くはないアシェットデセール専門店。そのなかでも、日本の食材を使ったオリジナリティあふれるメニューでひときわ異彩を放つ西洋茶屋 山本。遠方からでも京都へと足を運ぶ価値のある、今まで体験したことのないような唯一無二のデザートコースを堪能してください。