宮中で麸づくりを学んで330余年
1689(元禄2)年に創業した「半兵衛麸」は、京都の地で麸づくりをはじめて330余年の歴史ある麸屋です。宮中で培った技術を継承し、一つひとつ丁寧にお麸を製造。料亭や寺院本山はもとより、昨今では外資系ホテルや洋食レストランなどでも、半兵衛麸の京麸が用いられる場面が増えています。
鴨川にかかる五条大橋のたもとに佇む半兵衛麸 本店本プランの会場「半兵衛麸 本店」では、伝統的なお麸の魅力を存分に味わえる料理「むし養い」を提供しています。むし養いとは、京言葉で“お腹の虫を養う食事”、つまり空腹を抑えるための軽食のこと。また、築120年を超える京町家と昭和の洋式建築を融合した趣ある敷地内には、なま麸やゆばの工場をはじめ、茶房やショップなど様々な施設が併設されています。なかでもお辨當(べんとう)箱博物館では、芸術品とも呼べる絢爛豪華な弁当箱の数々を愛でることができます。
町家の本玄関から奥まで続く土間「通り庭」には、120年以上前のおくどさんや井戸が残っている半兵衛麸の当主は12代目の玉置剛氏。伝統の麸づくりと町の未来を見据えながら、本店にモダンなカフェをオープンさせるなど、お麸の可能性を広げるために精力的に活動しています。
半兵衛麸の12代当主・玉置剛氏日本の雅な食文化と共に発展してきた、半兵衛麸の歴史を辿る旅
体験のスタートは資料室の見学から。展示されているのは、創業以来脈々と続く歴史的資料や実際に使用されてきた製造用の道具類です。さらには、京都御所の食事を預かる職を務めていた初代当主からの家系図、現在も使われているという宮内庁に納める麸をつくるための道具なども。どの展示品も、12代にわたり大切に受け継がれてきた半兵衛麸の“商いへの姿勢”や、深い歴史を物語るものばかりです。
天皇に献上する麸を手で練るために使われていた専用の道具など、貴重な展示品が並ぶ資料室資料室にて半兵衛麸の歴史に思いを馳せた後は、町家の1階にあるお辨當箱博物館へ。通常は自由に見学できる館内ですが、本プランでは専任の案内人によるエスコート付き。いにしえの茶会や花見と共に発展してきた華麗な弁当文化について、じっくり探究することができます。
創業以来収集されてきた弁当箱や、花見の様子が描かれた屏風なども展示されているまた京都では、武家や公家、裕福な商家など“上流階級”と呼ばれる人々が、豪奢な弁当箱を用意し宴に興じていた歴史も。時代は変われど華やかな弁当箱を披露することは、ひとつのステータスの証であったといわれています。
見事な螺鈿細工の弁当箱。見た目の美しさだけではなく、持ち運びやすく収納にも優れたデザイン半兵衛麸の職人が直伝。伝統の本手巻手まり麸づくり
半兵衛麸では、ベテランの職人たちが繊細で愛らしい手まり麸を一から手づくりしています。この伝統ある手まり麸づくりを目の前で実演し、実際に自分の手でつくってもらう体験は、半兵衛麸の長い歴史において初の試みなのだそう。熟練の技術とこだわりを伝えること。そしてなにより、新しい体験を通してとっておきのひとときを提供したいという、半兵衛麸の思いを受け実現したOtonami限定プランです。
洋館の「茶房」に移動し、手まり麸づくりに挑戦職人に手ほどきを受けながら体験する、貴重な手まり麸づくり。まずは手まり麸の形を整え、文様付けを行います。色粉の入った麸を耳たぶほどの柔らかさになるまでしっかり指先でこねることが、きれいに成形する秘訣。文様は、いわゆる一筆書きの要領で一気に仕上げます。
手まり麸づくりの「糸巻き」という工程細く長く均等に、麸の一本線をつくっていくことは至難の業。柔らかさが足りないと途中で切れてしまってやり直し。一方、職人による文様付けは流れるようにスムーズで、思わず見惚れてしまいます。繊細で高度な技術を有する職人技を、間近で見学することができる貴重な機会です。
出来上がった手まり麸はデザインも豊富Otonami限定のむし養い料理に舌鼓を打つ
日本の食文化を支えてきた麸の歴史と、伝統の職人技を目の当たりにした後は、いよいよお麸料理を味わい尽くす時間。本手巻手まり麸入りの白みそ椀をはじめ、麸とゆばを様々な調理法で仕上げた限定のコース料理を堪能します。むし養いの本来の意味である「空腹を満たす軽食」というよりは、五感に響くような逸品の数々。京料理のコースに近く、お麸料理のバリエーションと味わい深さ、手まり麸の美しさにあらためて感動を覚えます。
なま麸田楽や、やき麸と生ゆばの煮いたん、みぞれ碗、白みそ仕立てなど豪華なむし養い料理締めくくりのデザートプレートもOtonamiだけの特別仕様。やき麸をフレンチトースト風にアレンジしたものと、本店3階にある「Cafeふふふあん」の人気メニュー、なま麸黒蜜きなこを同時に味わえます。半兵衛麸では、伝統を守るだけではなく新しい麸の楽しみ方も提案。現代の食文化に寄り添う柔軟な発想で、メニュー開発にも取り組んでいるのだそう。むし養いで用いられる麸とデザートでの麸それぞれに、“しにせ”の麸屋が次世代に伝えたい「伝統と革新へのこだわり」が反映されています。
Otonami限定のデザートプレート「麸レンチトースト」と「なま麸黒蜜きなこ」。麸ならではのもちもちとした食感がたまらない麸を通して実感する、日本の食文化の豊かさ
室町時代から大切な栄養源として、禅僧の精進料理を中心に取り入れられてきたお麸。宮中の特別な席で供されるものから、一般の町衆の食べものへと広く普及していき、現代の私たちにとっても身近な存在となりました。本体験を通して、豆腐や湯葉と並ぶ日本の伝統食材でありながら、歴史的背景や知られざる魅力があることに気付かされます。
本手巻手まり麸の美しさに、日本料理の奥ゆかしさと美意識を再認識京都・半兵衛麸 本店にて、その歴史に思いを馳せながら職人に学ぶ手まり麸づくり。そして特別な“むし養い”料理を味わい、日本が誇る麸の奥深い世界に触れられます。また、おみやげには麸レンチトーストのレシピと人気のやき麸が付き、体験の思い出を振り返りながら自宅でも麸屋の味を楽しめます。Otonami限定プランを通して、日本の食文化の豊かさを心に刻むひとときをお過ごしください。