九段下「Paper Tree」カリグラフィーアーティスト・原田祥子氏に習う和モダンカリグラフィー

ステーショナリー専門店で新しい日本語の楽しみ方を学ぶ

皇居や靖国神社などがあり、日本の伝統と歴史が息づく九段下。駅からほど近い場所にソーシャルステーショナリー専門店 Paper Treeはあります。店頭には、グリーティングカードやカリグラフィーアイテム、インク、シーリングスタンプなどが並び、文具好きやデザイナー、アーティストなどステーショナリーを愛する多くの人が、世界各国から足を運びます。

講師は、カリグラフィーアーティスト・スクリプトデザイナーの原田祥子氏です。和と洋を融合させるカリグラフィースタイルを提案し、2023年4月に自身初の書籍『日本語を愉しむ はじめての和モダンカリグラフィー』を出版。日本の伝統と軽やかな風を感じさせるオリジナルの書体“春風”は、繊細な美しさで高い評価を得ています。本プランでは、原田氏オリジナルの和モダンカリグラフィーの世界を学びます。

季節ごとに特別なテーマを用意

和モダンカリグラフィーは、時代に合う形で自由に日本語を楽しんでもらうために原田氏が考案した、“絵を描くように文字を書く”新しい日本語のスタイル。西洋の道具を用いることで、和と洋が融合したモダンで洗練されたデザインを目指しています。日本古来のユニークな文字の見立てや、時には歴史をさかのぼった象形文字の要素も加え、日本語でありながら西洋の筆記体を思わせるのびのびとした線は、見る人に心地良さを感じさせます。　

毎月取り上げるテーマが替わるのも本プランの特徴です。例えば、1月は「達磨」、2月は「和紙を楽しむラッピングペーパー」、3月は「墨と硯」など。完成品はお持ち帰り可能です。日本伝統の道具や素材にカリグラフィーを融合させた特別な体験を通じて、「書くこと」の楽しさを再発見できるでしょう。月ごとにまったく異なる学びを得られる内容なので、繰り返し参加することで和モダンカリグラフィーへの理解が深まります。

筆やペンの持ち方から書き方まで、基本が身に付く

はじめに、筆の持ち方や基本的な書き方、腕や体の使い方などの基礎を教わります。お手本をなぞりながら丸や曲線、「ありがとう」といった日常的に使う言葉の書き方を学べるので、はじめての方もご安心を。カリグラフィーに使うペンは、斜めの線が書けるように特殊な形をしており、手に持つだけで非日常的で面白い経験ができるでしょう。

和モダンカリグラフィーは、肩から動かして書くのがコツ。肩・腕・手首・指先を自然に動かし、絵を描くようにのびのびと字を書いていきます。身近な人に感謝を伝えたい時や季節の挨拶やメッセージカードを送る時、さらりと美しい文字を添えれば、こなれた大人らしさが伝わるでしょう。

和モダンカリグラフィーを使った自分だけの作品づくり

和モダンカリグラフィーの基礎を学んだら、いよいよ作品づくりの時間。ペン先、ペン軸、インクを使って、季節に合った作品づくりを楽しめます。1月は達磨に模様を描く「自分だけの達磨」づくり。白い達磨に描く美しい金の模様は、1年の始まりを華やかに盛り上げてくれそう。日本ではなぜ達磨を飾るのか、なぜ目を入れるのかといった歴史も一緒に学ぶことができます。

3月は、墨と硯がテーマ。様々な墨と硯を組み合わせて書き比べながら墨の濃淡の違いを楽しむ体験や、紫式部の使った硯をよみがえらせるプロジェクトに製作参加した製硯師・青栁貴史氏の貴重な硯を使って書く貴重な体験もできます。4月は、実際に色紙に紫式部の歌を書いてみます。他の季節も同様に、日本の文化を学び、感じながら作品づくりを行うプログラムです。

日常に文字の芸術がある生活を楽しんで

作品づくりが終わったら、和菓子とお茶を味わいながら、体験者同士で歓談する時間が設けられています。一期一会のこの機会にぜひ、和モダンカリグラフィーの体験を通して感じたことを共有してみてください。また、学んだことはすぐ日常で実践できます。和モダンカリグラフィーを取り入れて日記やメモを書いてみるのも面白いでしょう。普段目にする文字の印象が変わり、新鮮な気持ちを感じられます。

メールやSNSなどで手軽に挨拶を済ませてしまう現代、手書きのメッセージは特別な意味を持ちます。心を込めたメッセージは、あたたかく優しく相手の心に届くはず。思うままに自由に文字を書くことは、“書く瞑想（ジャーナリング）”に通じるものがあり、集中することで心が整い晴れやかな気分を感じられることでしょう。本体験を通じて、日常に和モダンカリグラフィーを取り入れてみませんか。