入浜式塩田開拓の地で塩づくりを学ぶ
穏やかな水平線を描く瀬戸内海、趣ある温泉街、西洋の情緒を感じるきらきら坂……。写真映えするロケーションで人気を集める観光地・兵庫県赤穂市は、古くから塩づくりが盛んな地でもあります。
朝日が眩しく反射することから名付けられたきらきら坂。まるで海外のリゾート地のような雰囲気さかのぼること江戸時代、塩づくりに適した環境であることを見抜いた赤穂藩が入浜式塩田を開拓。“水尾”と呼ばれる水路と防潮提によって海水を調整できる画期的なシステムを取り入れ、生産性の高い塩づくりが行われていました。赤穂で生まれた独自の製塩技術は、瀬戸内海沿岸を中心に各地に伝播し、約300年間にわたり日本の主要な製塩法となったのです。「赤穂の塩づくり」はその歴史と功績が評価され、2019年に文化庁認定の日本遺産に登録されました。
赤穂市にある海洋科学館・塩の国では、現存する水尾の一部や復元された入浜式塩田を見学できる(本プランにはこちらの見学は含まれません)江戸時代から続く塩づくりの伝統を受け継ぐ、老舗企業が手がけるカフェ
革新的な製塩技術と共に、全国に知られることとなった赤穂の塩。瀬戸内海を一望できる赤穂御崎には、赤穂の人々が塩づくりの安全を祈願してきた伊和都比売(いわつひめ)神社があります。本プランの会場は、神社の境内に佇むカフェ「AMAMI TERRACE」。運営するのは、江戸時代初期から約400年に渡り赤穂の塩づくりに携わってきた老舗企業、赤穂化成です。入浜式塩田のなかでも、にがりを豊富に含む塩をつくっていた東浜塩田での塩づくりをルーツに持ち、その技術を継承。赤穂化成の塩は、2009年の「世界料理サミット」で大会公認食品に認定されるなど、国際的にも高い評価を受けています。
神社の境内に建つAMAMI TERRACE。天気の良い日は輝く瀬戸内海を拝めるAMAMI TERRACEでは、赤穂の塩やにがりを用いた料理やスイーツを提供するほか、地域の海洋文化を発信しています。本プランの案内を担当するのは、赤穂化成の野中香映氏。赤穂で生まれ育ち、赤穂の塩を使った様々な商品を企画している野中氏から、塩づくりの歴史や海の恵みを秘めた塩について学びます。
赤穂の塩づくりに精通する赤穂化成の野中氏による座学海水から美しい結晶を生み出す
まずは、海水から塩を取り出す煎熬(せんごう)と呼ばれる伝統製法で、塩づくりを体験。塩分濃度を約20%まで濃縮した赤穂の海水を鍋に入れ、火にかけます。煮詰めている間に、赤穂で塩づくりが根付いた歴史的背景や製塩工程、塩の特徴や料理に合わせた塩の使い分けなどのレクチャーを受けます。海水からつくられた塩の最たる特徴は、にがりが含まれていること。「にがりの主成分はマグネシウムなので、ミネラルの働きで味に奥行きが出るんです」と野中氏。
食材の旨みを引き出す成分が多い塩は、調理に使うと味が豊かになる煮詰めた海水から、塩の結晶を取り出し脱水すると粗塩に。大小の結晶からなる粗塩は調理にぴったりなのだそう。「先に小さな結晶が溶けて味を豊かにし、その後に大きな結晶がゆっくり溶けることで後味にぐっと深みが生まれます」と野中氏。出来上がった粗塩は持ち帰ることができます。
粗塩の水分が飛んでさらさらとした焼き塩に続いて行うのは、粗塩をさらに煮詰めてできた焼き塩をベースにしたワイン塩づくり。このときに加える赤ワインは、いくつもの銘柄を試した末に選び抜かれたという神戸ワイン。芳醇な香りに包まれた直後、鍋のなかの塩がルビー色から淡い桃色へと移り変わる様子に、思わず歓声が上がります。ワイン塩はテーブルソルトに最適で、ステーキに付けたりアイスクリームにかけたりするのもおすすめだそう。
桃色のワイン塩は袋詰めして持ち帰ることができる焼き塩にアレンジを加えたオリジナルのシーズニングソルト
ワイン塩に続いて、焼き塩をアレンジしたシーズニングソルトづくりを体験。姫路にあるハーブティー専門店「Sorali」から仕入れた4種のハーブ、2種のスパイス、香りづけのアロマ2つを自分好みにブレンドします。それぞれ1つずつ入れるシンプルな調合も可能。シーズニングの内容は時季によって異なるため、どんな材料に出会えるかは当日のお楽しみ。2種類つくっておみやげにできるので、香りや色を変えてみるのも良いでしょう。
レモングラス・ローズマリー・タイムなどのハーブと様々なスパイスを使って、感性の赴くままにブレンド最後に、出来たばかりの焼き塩をそのまま堪能するべく、ノンアルコールのソルティドッグをつくります。トニックウォーターとグレープフルーツジュースを注いだコップの縁にレモンをこすり、焼き塩を付けたら完成。フレッシュな柑橘の酸味と、焼きたての塩の運命的な相性を味わえるまたとない機会です。
お手製のソルティドッグで乾杯。柑橘の酸味と苦みが塩の味を引き立てる究極の美味に出会うOtonami限定ランチ
ソルティドッグで喉を潤した後は、絶品ランチを楽しむ時間。瀬戸内海を一望できるAMAMI TERRACEのカフェスペースで、Otonami限定のコースを堪能します。メインは、幻の魚と称される希少なサツキマスを使ったひつまぶし。本プランでいただくのは、赤穂化成が低温で水質の良い海洋深層水を活用して養殖したサツキマス。天然ものよりも清浄性が高いのだそう。ランチには、選べるドリンクと、ワイン塩をかけたアイスクリームのデザート付き。ほのかな塩気がアクセントとなり、バニラの甘さが引き立ちます。
※鰻のひつまぶしに変更するオプション(有料)もあります。
サツキマスのひつまぶしは、薬味やレモン塩を付けたり、塩ベースの出汁をかけたりと段階的に楽しめる青々と輝く赤穂の海に抱かれて
赤穂の歴史ある塩づくりを学び、眺望の良いAMAMI TERRACEで海の恵みを堪能できる本プラン。出来上がったばかりの4種類の塩は、活用方法を紹介したオリジナルのリーフレットと共におみやげに。赤穂での体験を振り返りながら、自宅でも感動の追体験ができるOtonami限定の特別な機会です。
自分でつくった塩を自宅で使う楽しみも塩づくりとランチを満喫した後は、海に抱かれた美しい景色を心に刻むように、周辺をのんびり散策してみるのも良いでしょう。偉大なる海の産物をめぐる様々な体験を通して、暮らしを彩る塩の世界に触れてみませんか。
穏やかな瀬戸内海を眺めていると、しだいに心も凪いでいく